スポンサーサイト



上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事をブックマーク

太陽光バブル崩壊の波に飲み込まれる海外の太陽光発電産業



ここ数年、太陽光発電ブームの波に乗り、バブルを謳歌していた欧米のソーラーパネルメーカー。しかし、欧州で再生可能エネルギー買取価格が見直されたことをきっかけに需要が急減。それに伴いソーラーパネルの価格も暴落状態で、太陽光バブル崩壊の様相を呈しています。

2011年の世界全体での太陽光発電導入量は、2010年に比べて20%減少との予測がなされています。需要が20%減る一方で、中国メーカーなどが生産量を維持。そのため、太陽光パネルの価格が42%も低下する事態になりました。アメリカでは、ソリンドラなど3社が破綻しています。
太陽光エネルギー業界で大規模再編が加速-価格下落で提携か廃業へ - Bloomberg.co.jp

ドイツのQセルズも株価が50%以上下落し、6月にはCEOが身売りをほのめかしたこともありました。8月の時点でも転換社債の価格が、額面の64%減で取引されているようです。ドイツのソーラーパネル業界もかなり厳しい状態です。
独QセルズCEO:良い相手いれば身売り反対せず-具体交渉ない - Bloomberg.co.jp


太陽光発電の導入量を減らす欧州

欧州各国では、FIT制度の買取価格を引き下げ、導入量を低下させている。ドイツの例では、2011年1月に買取価格を13%引き下げ、さらに7月に15%の引き下げを予定していました。
EICネット[ドイツ、太陽光発電に対する電力買い取り補償価格を15%引き下げる提案を公表]

しかし導入量が減りすぎたため、7月の値下げは中止されたようです。ところが今度は、値下げが無かったために導入量が増えすぎ、来年2012年1月に予定している引き下げ幅を、9%→15%にするという観測もあります。ソーラーパネル価格の変動を予測できず、迷走しているようです。
独、太陽光発電産業が窮地に陥る 中国産業への影響も:【ワールド】 - Xinhua Japan
中国における太陽光発電のこれから - 戸松信博のいまこそ中国株!/マネックス証券

スペインでは投機目的の太陽光発電施設が大量に造れてしまい、多額の債務が発生したため、買取価格を引き下げ、導入量に上限を設けている。最近ではイタリアフランスイギリスなども、続々と買取価格を引き下げています。

導入量を減らすような価格設定にしている理由については、欧州各国の財政危機、電気料金の上昇などが挙げられています。また太陽光は不安定であるために、バックアップ発電の費用、送電網の整備など、追加的なコストが発生する可能性があるようです。
EU、次世代送電網などエネルギーインフラ整備に22兆円以上が必要 | 海外CSR・環境通信


太陽光バブル崩壊の影響

この世の春を謳歌していた太陽光発電の関連企業ですが、アメリカでは倒産するメーカーも出始めました。生き残っている企業でも、過剰な設備と余分な在庫を抱えてしまったため、今後は苦労することになりそうです。

同じ太陽光関連企業でも、経営状態はいろいろです。2010年、売上が35%マイナス、赤字13億ユーロ超という途方もない痛手を負ったQセルズ。その一方で、シャープはバブルの波に乗らず、投資を抑えていたために順調に利益を出していたりします。日本のメーカーは〝バスに乗り遅れた〟なんて言われたこともありましたが、あわてて乗らなくて助かったのかもしれません。
(シャープは太陽光以外の事業も手がけていますが)
誰が「太陽光発電バブル」を崩壊させたのか?―ドイツQセルズの苦悩とシャープの復権 - WSJ日本版

とはいっても、中国など新興国の価格競争力には敵わないようです。シャープもQセルズも、アジアなど海外生産の比率を高めています。また、アメリカで破綻したエバーグリーンも、アメリカ本国ではリストラを行う一方で、中国での生産は続ける方針のようです。
米国の太陽電池パネルメーカーが破産申請、 中国での製造は続行する見込み - EE Times Japan

中国製の太陽光パネルは、中国政府からの補助金を受けている、との指摘もあります。アメリカでは、ドイツ系のメーカーなどが、ダンピングで中国を提訴する可能性があるようです。
太陽光発電各社が米国で中国提訴も、安価な輸入品に対応-関係者 - Bloomberg.co.jp

太陽光パネルの需要で見ると、欧州が世界の78%を占めている。にもかかわらず、生産量ではドイツですら14%を占めるのみ。欧州で導入される太陽光パネルは、ほとんどが輸入であることがわかります。
太陽光パネル産業、供給過剰でさらなる苦境に - EE Times Japan
中国の太陽電池メーカー、その強みと弱み :日本経済新聞


太陽光バブルで儲けた人、損した人

太陽光バブルに乗って儲けた企業、損した企業、いろいろです。雇用された従業員なども含めれば、全体としては利益を得ている方が多いのかもしれません。どの国の企業か、どこの国の雇用か、という点には注意が必要ですが。

また、太陽光で発電する事業者、個人などは、基本的に利益を得ているでしょう。国によって制度は違いますが、FIT制度では長期間、高く買い取ってもらえます。ドイツでは20年程度で、年に5%~7%程度の利益は約束されるようです。

ドイツの場合、発電した電気はすべて確実に買取ってもらえます。作った電気が売れなくて困る、というリスクは無し。パネルメーカーのように、過剰な設備や在庫を抱える心配もありません。

ただし、ドイツヤスペインでは風力発電の導入量が増えすぎたため、風力の出力抑制などの対策が取られているようです。この場合は買い取ってもらえないようです。
→(PDF)新エネルギー大量導入と 系統安定化に向けた取り組みに関する 欧州現地調査報告


ソフトバンクの孫正義氏や、おひさまファンド代表取締役の飯田哲也氏が、あちこちで宣伝して回る理由もよくわかります。既にメガソーラー建設の動きはありますが、海外のメーカーから見ても日本はおいしい市場になるかもしれません。
miro on Tumblr » ・「太陽光発電と原発のコストは逆転」は飯田哲也と共についた大嘘
飯田哲也の如何わしさ満開!嘘つきとまで云われてしまったね。: ミーチャンハーチャン

利益を得る側にあるのは、利益をあげたメーカー、給料をもらう従業員、工事を行う業者、太陽光発電で利ざやを稼ぐ事業者や個人、などです。「エコなエネルギーを使えてうれしい」と思える人も、精神的な利益は得ているかもしれません。

利益を得た人がいれば、反対側では負担をした人がいるはずです。たとえば、再生可能エネルギーの買取費用を、電気料金に上乗せして払った家庭や企業。国や自治体が補助金を出していれば、税金を払う企業や個人でしょうか。


欧州での壮大な実験結果

全量買取制度(FIT制度)の導入で、太陽光パネルの需要が急増。導入量が増えすぎたために、負担が大きくなったり、電力供給が不安定になる。あわてて価格を引き下げて、導入量を減らそうとすると、今度はパネル価格が暴落し、国内産業がボロボロになる。

欧州の太陽光バブル発生と、その後の過程を見ていくと、ちょっとした制度設計の違いによる影響の大きさがよくわかります。気付いた時には手遅れで、制御不能に陥っているのがバブルではありますが。ギリシャなどソブリン債バブルと共通するものを感じます。
【日本版コラム】誰が「太陽光発電バブル」を作りだしたのか? - WSJ日本版 - jp.WSJ.com

FIT制度では、産業を育成し雇用を生み出す効果がある。また、普及によって再生可能エネルギーのコストが下がる、とされています。しかし太陽光パネルについては、中国など新興国の安い人件費の前では、ドイツメーカーですら歯が立ちませんでした。FIT買取価格が引き下げられて需要が急低下し、価格競争になるとはっきりします

中国メーカーの安売り攻勢には、誰もついていけず、アメリカでは倒産が続出。FIT制度のおひざ元、ドイツですら競争力は備わらなかった。環境産業の育成のはずが、需要の急増に対応しきれず、輸入に頼って海外の産業を育て、結果的に自国の産業が苦しくなることに。


日本が本当に「見習うべき」ことは何か

そうした状況の中、イタリアではEU域内で生産されたものに限って高く買取る、というような制度にしているそうです。雇用を守るために国内品に限るべきか、中国製による価格の低下は享受するべきか。どちらがいいのかはわかりませんが。
片山さつき Official Blog : 修正点は、こういうことです!

たとえば買取価格が高すぎると、電気料金の値上げなど、経済へのマイナス効果の方が上回ってしまいます。経済的にプラスの効果を与えながら、自然エネルギーを普及させる、という二兎を追いかけるのは簡単ではありません。
太陽光発電の余剰買取と全量買取の制度比較


そもそも、まだまだ高い今の時期に、無理に導入する必要があるのかどうか。今は欧州向けに輸出だけしておいて、欧州の自然エネルギーの普及に協力して稼がせてもらう方が、賢いような気もします。

高くても、元が取れなくても買ってくれる、エコが好きな人も国内外にいます。そういう人に自分のお金で買ってもらう、というのもいいでしょう。

コストが高くて不安定な太陽光に関しては、国民全員の負担になるFIT制度による普及促進は時期尚早に思えます。少なくとも、電力供給が不安定にならない範囲に抑えておくべきでしょう。大量導入のためには、蓄電技術なども必要になります。メドがつくまでは、まだ技術開発に投資する段階にあります。
【再生エネ探検】根付くか新電力(4) 独自技術で価格競争に対抗+(2/2ページ) - MSN産経ニュース




はてなブックマーク - 米太陽電池、3社が相次ぎ破綻 中国の攻勢で  :日本経済新聞

2011/9/5 0:47

【シリコンバレー=奥平和行】
 米太陽電池業界に逆風が吹き付けている。8月にはソリンドラ(カリフォルニア州)など3社が事実上、経営破綻したほか、米最大手ファーストソーラーの4~6月期は大幅減益となった。最大市場である欧州で販売が伸び悩んでいるほか、低価格を売りものにする中国企業の攻勢が強まっており、消耗戦の様相を呈している。

 ソリンドラはビルや商業施設に設置する円筒状の発電効率が高い太陽電池を生産していた企業。8月はエバーグリーンソーラー(マサチューセッツ州)と、半導体世界最大手、米インテルの出資先として知られるスペクトラワット(ニューヨーク州)も経営が行き詰まったファーストソーラーの4~6月期決算は売上高が前年同期比9%減の5億3277万ドル(約410億円)、純利益は同62%減の6113万ドルと減収減益だった。

 自然エネルギーの需要の高まりを背景に、太陽電池への需要はこれまで順調に拡大してきた。欧州太陽光発電産業協会(EPIA)によると、2015年には世界の太陽電池の新規導入量が10年実績より4割強多い2393万キロワットまで増える見通し。ただ11年は10年比20%減の1333万キロワットを見込んでいる。

 欧州各国の政府は電力の固定価格買い取り制度などをテコに需要を喚起してきたが、ここへきて財政悪化を背景に相次いで補助を縮小しておりその影響が出た。主要市場である欧州の需要減速で太陽電池の価格が下落し、米国各社の業績を圧迫した。

 供給能力増強を進めてきた中国企業が欧州の減速などで米国市場に矛先を向けたことも、米企業の苦境を一段と深める結果となった。中国企業は米国で施工会社を拡大し広告も活発に行っている。米調査会社ソーラーバズによると、8月の太陽電池モジュール1ワット当たりの価格は、前年同月より23%低い2.84ドルまで下がっており、各社の収益の重荷になっている。




経済コラムマガジン 11/7/11(669号)
 世界の太陽電池の導入量が順調に増えているという話も嘘である。7月9日付日経新聞によれば、10年(昨年)が一つのピーク(以前にも激減した年があった)で、11年、つまり今年は2割も減少すると予想されている。また10年(昨年)の直近のピークを越えるのは2年後の13年という予測である。これは圧倒的シェアーを持つ欧州で導入が激減しているからである。特にドイツは太陽光発電の電気の買取り価格を引下げたことが影響している。要するに太陽光発電で先走った欧州も、とうとう太陽光発電に見切りをつけたのであろう。日本は再生可能エネルギーによる発電を増やす必要があると騒いでいる間抜けな政治家やマスコミは、このような現実を知っているのだろうか。




社会経済研究所[SERC] - ディスカッション・ペーパー

系統安定化対策コストを考慮した 日本における太陽光発電コスト見通し

野中 譲,朝野 賢司
SERC Discussion Paper 11027
Date:2011

要約

 太陽光発電の導入量に関する最新の想定に基づき、学習曲線を用いて将来の太陽光発電コストを試算したところ、2020年代に20円/kWhを切る可能性はあるが、系統安定化対策コストを加えると、2030年までに30円/kWh前後に留まることがわかった。

 これは、国内の導入速度を速めると、2020年代に発電コストの低下速度が僅かに速くなるものの、導入量の増加に伴い系統安定化対策コストも急増するため2030年までの発電コストは2020年代に比べてむしろ高くなるためである。

 国内の導入支援政策が学習効果を通じて「発電モジュール」価格の低下に与える影響は小さく「その他システム(いわゆるBOS、バランス・オブ・システム)」に与える影響が重要だが、導入支援政策による学習効果では2030年までに正味の社会的便益を生み出す可能性は少ない

 太陽光発電に系統電源との真の競争力を持たせるためには、「発電モジュール」だけでなく、太陽光発電追加にともなう系統全体の限界コストを大幅に引き下げるような技術革新が同時に必要と考えられる。


関連記事
このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事をブックマーク


タグ : 再生可能エネルギー 太陽光発電 中国 ドイツ スペイン アメリカ 

最新記事
北海道の太陽光発電は、電力消費ピーク時間に発電量が0になる厄介者 user

FIT開始8ヶ月で、太陽光発電に7兆円の補助金が必要になったかもしれない user

北海道電力のメガソーラー受け入れ枠は競争入札で決めればよかった user

外国製メガソーラーにWTOのお墨付き、もう太陽光発電は住宅用だけでいい user

農業セクターへの助成総額を2倍に増やしたアメリカ、2/3に減らした日本 user

「攻めの農業」とは、補助金ジャブジャブにして安売り攻勢をしかけること user

聖教新聞を非課税にしようとがんばる公明党 -消費税の軽減税率導入論- user

過去の記事一覧
AD
FC2ブログ内検索
カテゴリから記事を探す
キーワードタグから記事を探す
RSSリンクの表示
リンク・転載・引用などはご自由にどうぞ
QR

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。