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住宅用太陽光発電の余剰買取制度と全量買取制度の比較



NISTEP 科学技術政策研究所の資料から、住宅用太陽光発電の余剰買取制度と全量買取制度の比較シミュレーションの結果。
太陽光発電の普及に向けた新たな電力買取制度の分析

太陽光パネルや周辺装置の価格低下が起きなければ、余剰買取りでも全量買取でも社会余剰はマイナス。3年後の再生エネルギー法の見直しで、十分な価格の低下が起きたかどうかの検証は必須です。

買取価格を1kWh48円で固定したまま、全量買取にした場合には社会余剰が大きくマイナスになる。よって、毎年の電力買取価格の引き下げも必須の条件。

  • 太陽光パネルの価格低下が起きること
  • 固定買取価格を段階的に引き下げること


太陽光発電の全量買取制度で社会余剰をプラスにするためには、この2つが絶対条件となる。

その場合でも、全量買取制度の費用対効果は低い。5年でパネルの価格が半分になり、買取価格は48円でずっと固定した場合のシナリオだと、累積導入量は余剰買取の1.8倍に増えるが、買取費用は4倍の100兆円以上もかかる試算になっている。

なお、この資料では送電網の整備や出力調整などに関する費用は考えられていない。風力や太陽光などの出力が不安定なエネルギーが大量に導入された場合には、送電網の系統安定化対策も必要になるので、実際の費用はもっとかかる可能性が高い。

またCO2削減の効果も、1トン1万円など高めに設定されている。現在のところヨーロッパで取引されるCO2排出権は1000円。CO2削減による効果を、実際の10倍くらい高めに見積もっているので、太陽光の導入による社会的な利益が多少甘めに設定されている。




すべてのシナリオで、全量買取よりも、余剰買取のほうが社会余剰が大きくなる。全量買取、余剰買取ともに、太陽光パネルの価格低下がなければ、社会余剰はマイナス。さらに全量買取の場合は、毎年買取価格を引き下げていかなければ社会的にマイナスとなる。

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FIT_cb.jpg


普及の促進、負担の軽減のためには価格の低下が不可欠。しかし、導入量が伸びているにもかかわらず、価格低下のペースは落ちている。シリコンなどの原材料が、需要の伸びによって高騰したため。更なる価格の低下には、新しい方式の発電パネルなどの技術開発などが必要

あるいは、中国製などのパネルを輸入してコストの引き下げ競争が起きることに期待されている。その場合は国内産業への雇用増加などの波及効果は少なくなる

ドイツの全量買取制度では、太陽光従事者48,000人で、1人当たり175,000ユーロ(2,200万円)の補助金を出している計算だった。全量買取の補助金のほとんどが、太陽光パネルなど発電機器の輸入という形で海外に流れてしまったために、ドイツ国内の雇用の維持にはあまり役立っていないという指摘もある。

price_chart.jpg


太陽光発電の普及に向けた新たな電力買取制度の分析より抜粋
3ページ目

太陽光発電の普及に向けた新たな電力買取制度の分析1
大橋 弘2 明城 聡3 2009年11月

概要
本論文では2009年11月に導入された住宅用太陽光発電の余剰電力買取制度の効果を定量的に分析する. 1997-2007年において都道府県レベルの需要関数および太陽光メーカーの費用関数からなる構造モデルを推定した上で, 想定されるいくつかのシナリオのもとでの住宅用太陽光発電が2030年までにいかなる普及過程を辿るかについてシミュレーション分析を行った. 48円/kWhから開始する余剰電力買取価格が, 住宅用太陽光発電の生産に伴う限界費用とともに5年間で半減し, 且つ送配電系統における制約がないのであれば, 住宅用太陽光発電の累積導入量は2020年までに2,800万kW(2005年比の20倍), 2030年までに5,300万kW(2005年比の40倍)に達することが明らかとなった. ただし, 生産コストが現状から全く下がらなければ, たとえ余剰電力買取価格を48円/kWhで10年間継続したとしても, 2020年までの累積導入量は1,300万kWにとどまることも分かった. 太陽光発電の限界費用が5年で半減するのであれば, CO2排出量削減の経済価値を加味すると, 余剰買取制度は社会余剰の観点から正当化されることも明らかになった.

本論文ではさらに太陽光発電の全量買取制度についても分析を行った. 住宅用太陽光発電の限界生産費用が5年間で半減し, かつ全量買取価格が10年間で48円/kWh均一であるならば, 2020年までに7,900万kW(2005年比で55倍)以上の累積導入量が見込めることが分かった. しかしながら, 電力買取費用の総額は余剰買取のケースと比較して大幅に増加するために, シナリオによっては, 全量買取制度が社会余剰の観点から正当化されない場合がありうることが分かった.

なお, 本論文で分析された2030年までの住宅用太陽光発電の普及シナリオは, 送配電網における系統安定化に対する影響を考慮していない. 本論文の定量分析と合わせて, 電力系統の観点からも太陽光の大量導入に対する対応策を検討する必要性があることも指摘された.


14~15ページ

7 全量買取の場合のシミュレーション
2009年11月から始まった買取制度は, 余剰電力に注目して国民負担を抑えるよう配慮した日本独特の制度であった. だが, ドイツやスペインなどで行われているような全量買取制度と比べ, 太陽光発電システムの導入インセンティブが低いことも否めない. もし仮にわが国にて住宅用太陽光発電の全量買取を実施したならば, 太陽光発電はどれだけ普及するだろうか.

この章では, 住宅用太陽光発電で作られる電力全量を電力会社が48円/kWhにて買取り, そのコストは電力料金に上乗せされる場合を想定して分析を行った. 具体的には, 6.1節と同じ買取価格と生産コストに関するシナリオのもとで, 買取制度の対象を全量買取に拡大した場合の太陽光発電の普及についてシミュレーションを行った. この結果, 買取価格を段階的に下げるシナリオ(3a)-(3c)では買取制度の対象となる2010-2014年の年間導入量は, 余剰電力買取の場合に比べて平均で1.44倍まで増加した. 一方, 買取価格48円/kWhを継続するシナリオ(2a)-(2c)では2010年以降の年間導入量は余剰買取の場合と比べて1.85倍へ増加した. 図5に全量買取のもとでの2030年までの累積導入量の推移を示す. もっとも普及が進む買取価格48円/kWhを継続し生産コストが5年で半減するシナリオ(2c)では2020年の累積導入量は1億1000万kWとなる(余剰買取の場合の1.8倍). この場合, 2020年を待たずに2005年度比の55倍を達成できることが分かった. この55倍という数字は, 2020年での温暖化ガス排出量を1990年排出量比で25%削減を達成するために必要な太陽光発電の目標量として, 2009年4月に地球温暖化問題に関する懇談会での中期目標検討委員会において示された一つの目安である. この場合, 2020年には1990年排出量の4.1%に相当する4,742万トンのCO2排出量が削減されることになる. なお, 増加割合の最も少ないのはシナリオ(3b)で, 2020年の累積導入量は1,800万kW(余剰買取の場合の1.15倍)である. この場合のCO2削減量は780万トン(1990年排出量の0.7%)となる.

以上の普及のシミュレーションからは, 太陽光発電の電力を全量買取にすることで普及を更に進めることができると言える. 但し, 電力買取の負担も増加することになる. シナリオ(3c)での電力買取の総費用は, 余剰電力買取の場合には1.9兆円であったのに対して(表7参照), 全量買取の場合には6.6兆円へと3.5倍となる(表8参照). 更に, 48円/kWhでの買取りを続けるシナリオ(2c)にいたっては, 2030年までの太陽光発電の導入分に対する買取費用の総額は, 余剰買取の場合に25.8兆円であったのに対して, 全量買取の場合には105兆円へと跳ね上がる. この場合, 削減されるCO2の価値を最大の10882円/トン-CO2で見積もっても社会余剰は-1.3兆円の負になってしまう. 表8では買取制度を導入せず生産コストも下がらないシナリオ(1a)との比較において, 全量買取の基での各シナリオの社会余剰を求めた. この表からも48円/kWhでの買取を継続するシナリオ(2a)-(2c)では電力買取の費用が大きいため, 社会余剰が大きく損なわれてしまうことが分かる. 余剰損失の最も少ない場合(シナリオ(2a)においてCO2の価値を最大に見積もった場合)でもその額は-5.6兆円である.

他方で買取価格を48円/kWhから段階的に下げていくシナリオ(3a)-(3c)においては, 生産コストが変化しないとした(3a)を除き, 費用対効果は正となった(表8参照). ただし, この場合でも表8の全量買取での社会余剰は表7の余剰買取のときよりも低いことが見て取れる. 例えばシナリオ(3c)では, 余剰買取の費用対効果は12.0~16.3兆円であったのに対して, 全量買取の費用対効果は8.9~13.8兆円となっている.

以上から, 買取制度を余剰買取から全量買取にすることで太陽光発電の普及を更に促すことが可能ではあるものの, 電力買取にかかる費用負担の増加にともなって社会余剰の増加は少ないことが分かる.


16ページ

本論文での分析結果から, 買取制度の在り方に加え, 太陽電池や周辺機器などの生産コストがどれだけ下がるのかが, 今後の太陽光発電の普及の鍵を握っていると言える. 5.2節の費用関数の推定結果にもとづくと, 産業全体の限界費用は1997から2004年にかけて年率4.5%低下しているが, 2004から2007年ではわずか年率0.4%しか低下しておらず(つまり分析期間中の平均は3.6%減少), 近年では生産コストの低下が鈍ってきている. この現状を踏まえると, 6.1節での生産コストに関するシナリオ(b)および(c)を満たすためには, 太陽電池およびその周辺産業において, これまで以上の技術革新が期待される. シリコン原料を大幅に節約できる薄膜型太陽電池の開発や, 純度の低いソーラーグレード・シリコンの生産拡大などコスト削減に向けた生産技術の普及はそうした技術革新の一環として重要な役割を果たすことだろう.

今後, 中国などを中心にさらなる海外メーカーが日本市場に参入することも予想される.15 こうした新規参入による供給者の増加は結果として価格の低下を促し, 太陽光発電の普及を大きく促す可能性がある. 他方で, 輸入の拡大は国内メーカーの育成や太陽光発電関連産業における雇用拡大を阻害することにもなりかねない. 表8の費用対効果の結果からは, たとえ生産者余剰の増分がすべて海外に流出したとしても, 価格低下による消費者余剰の増加は十分に大きく, 余剰電力の買取制度は社会便益の増加をもたらすとの結果が得られたが, 産業政策的な観点からは国内メーカーの一層の奮起に期待がかかるところである.




第177回国会 予算委員会 第20号 平成23年7月7日

○片山さつき君
菅総理及びブレーンの方々のエネルギー迷走発言というのがここにあるんですけれども、今や菅総理の唯一の経済界におけるお友達と言われているソフトバンクの孫社長ですが、休耕田の二割に太陽光パネルを設置すれば原発五十基分、再生可能エネルギー全量を二十年、四十円キロワットで買い取るべしと。

 この二点について、政府の見解、そして今朝のあなたの発言と大きな矛盾があります。

 政府の見解、この配付資料に取ってあります。休耕田の二割に太陽光パネルを全部設置しても、太陽光パネルは一日に三時間しか起動しないから原発五基分にしかすぎない。まあ、あなたが閣議決定したこの計画においても、ほとんど原発の割合を三割にするか四割にするかの差しかないわけですから、もうそれは言わずもがなですが。

 そして、再生可能エネルギーの全量を四十円で二十年間買い取るべし。こんなことをしたら、ノーリスク・ハイリターンのすごい利権商売ですよね。でも、あなたは、価格について質問をされて、こう答えています。価格は、これから再生可能エネルギーは劇的に下がる劇的に下がるものをどうやって二十年間四十円で買い取るんですか

 そして、あなたは、経済界にコストが上がるのではないかという見方もあるけれども、化石燃料のコストも上がっており、今回の事故で原子力に対するコストも間違いなく大きく上がる、将来に向かってコストが下がっていくこの再生可能エネルギーを促進する法律は極めて重要。

 自民党も再生可能エネルギーの買取り、これはマニフェストに入れています。あとは、鉄鋼や電炉や、どうしてもこれでは国際競争に勝てない、そういう産業にどういう手当てをするか。そして、電力料金が上がるということは非常に逆進的です。一番つましい、一番お金のない家庭にきついんです。それをどうするか。そういった問題が多々あるんですが、このソフトバンクの孫社長の言っていることをほとんどうのみにして、たくさんの県知事たちが、自分のところに太陽光パネルをただで敷いてもらえる、そうすれば原発を止めても大丈夫だと言っている方がいます。

 ここでしっかり訂正してください。政府の見解が五基分しかないのですから、このソフトバンク孫社長のおっしゃっていることは成り立たないと言っていただきたい。そして、もう一つ。太陽光パネルは圧倒的に中国が強いんです。半分から八割の市場を持っていますドイツでも太陽光パネルは半分以上が中国産で、国内雇用に何の役にも立っていないと批判が立っています。これから太陽光パネルを一千万戸に増やす、それがあなたの五月二十五日の公約です。そのためには大型に輸入をしなければいけません国産は三百万キロワットしかありません。無理なんですよ。
 まるで、あなたの太陽光発電強化作戦というのは中国と韓国に補助金を出しているようなものじゃないですか。お答えください。

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タグ : 再生可能エネルギー 自然エネルギー 太陽光発電 

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