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北海道の太陽光発電は、電力消費ピーク時間に発電量が0になる厄介者



北海道のメガソーラーの受入可能枠がいっぱいになって買取が制限される件で、某ソフトバンクの社長が文句を言っているとかいないとか。
北電の太陽光エネルギー受け入れ制限 ソフトバンク孫社長が批判-北海道新聞

どうやら計画していたメガソーラーのうち3箇所、合計18万kW相当が受け入れ上限に引っかかって、建設断念という方向になるようです。
ソフトバンク メガソーラー 苫東で半減、八雲は断念へ 18万キロワット減-北海道新聞

昨年12月末時点でも、全国の認定メガソーラー217万kWのうち、4分の1超の56万KWが北海道に集中していました。今年に入ってさらに増えていて、2000kW(2メガワット)以上のメガソーラーだけでも、北海道に156万kW分が集中。

156万kWを全部つなぐのは無理なので、40万kWまでに制限される事になります。なお2000kW以下のものについては、まだギリギリ制限に達していません。両方あわせると、北海道の太陽光発電は70万kW程度までが限度とされます。


※ 都道府県別の設備認定状況 (2012年12月時点のデータ)
2012年12月時点1000kW超の太陽光発電設備認定状況

1 北海道 563845 26% 25 長野県 18858 1%
2 鹿児島県 256500 12% 26 佐賀県 17801 1%
3 大分県 131102 6% 27 宮城県 17253 1%
4 福岡県 93029 4% 28 岩手県 15407 1%
5 岡山県 91886 4% 29 徳島県 14870 1%
6 栃木県 75155 4% 30 山梨県 13995 1%
7 兵庫県 73225 3% 31 奈良県 13569 1%
8 茨城県 65763 3% 32 石川県 12915 1%
9 千葉県 65263 3% 33 島根県 9639 0%
10 熊本県 62146 3% 34 沖縄県 8390 0%
11 山口県 59202 3% 35 和歌山県 7724 0%
12 愛知県 56014 3% 36 新潟県 7478 0%
13 大阪府 50417 2% 37 京都府 7478 0%
14 広島県 43452 2% 38 高知県 7136 0%
15 宮崎県 42503 2% 39 神奈川県 6707 0%
16 鳥取県 39499 2% 40 青森県 6456 0%
17 愛媛県 37550 2% 41 滋賀県 6309 0%
18 長崎県 31102 1% 42 岐阜県 5307 0%
19 群馬県 27082 1% 43 富山県 1500 0%
20 三重県 24744 1% 44 福井県 0 0%
21 福島県 23085 1% 44 東京都 0 0%
22 香川県 22655 1% 44 秋田県 0 0%
23 静岡県 22444 1% 44 山形県 0 0%
24 埼玉県 19471 1%   合計 217万5,923kW 100%

[PDF] 北海道における大規模太陽光発電の接続についての対応を公表します / 経済産業省


孫さんは送電網の限界をわかっていたはずだが


たしか2年ほど前の孫さんは、高圧送電網を整備しろとかアジアスーパーグリッドだとか、そんなことを言っていたような気がするんですよね。
ソフトバンク社長:日本縦断する直流の高圧送電網を-電力融通で提言 - Bloomberg

そういう過去の発言からすれば、自然エネルギーを増やすには送電線の増設などが必要、なんて事は常識としてわかっているはず。孫さんの周辺にはわかっていない人もいるかもしれませんが、おそらく孫さん本人はそこまでバカではないと思います。

それがわかっているからこそ、早々に諦めて北海道からは撤退という方向になったのでしょうし。今回ばかりは、「北海道が停電しようが知った事じゃないから、俺様メガソーラーの電気を全部買え」なんて要求しても通るはずがありません。

わかっていながら、「受け入れ制限を批判」するという意味がわかりませんけどね。まあ、今回の新聞記事だけでは細かい発言内容やニュアンスまでは不明ですが。



北海道で電力需要がピークを迎える時、太陽光の発電量は0になっている


北海道のピーク時の電力需要は、春先の最小値だと400万kWにも届かない程度です。
でんき予報-ほくでん

そこに2メガ以上のメガソーラーだけでも156万kW、2メガ以下の規模の太陽光まで含めれば合計200万kW近い容量が、しかもたった1年のうちに殺到したのですから、いかに異常なことかわかりますね。

太陽光発電というのは、晴れた日の正午近くには調子よく80%~90%の出力で発電していても、日が傾くにつれて発電量は減っていき、日が沈むとゼロになります。くもりや雨の日には、昼間でも50%から10%以下しか発電できないというのもざらです。

では北海道の電力消費量の方はどうかといえば、昼を過ぎても減らずに夕方から夜にかけてピークが来る事が多くなります。夏でもエアコンによる冷房需要が少ないせいか、日が沈んで照明が必要になる時間に電力消費が跳ね上がる傾向があります。
<1>道内のピーク需要は 夕方まで高水準続く-北海道新聞[節電の夏 電力事情Q&A]

北海道内の電力需要の推移2010年8月31日
UkishimaSolar20120321.jpg


そして太陽光発電はその時間(18時~19時ごろ)には発電量が0になっています。もう日が沈んでいるのですから当然ですね。

このように夕方にかけて太陽光が減っていく分+電力消費が増加する分は、他の火力発電とか水力発電などで補う必要があります。
[PDF] (3)火力発電による太陽光発電の出力変動対策

天候が安定していて、太陽光発電の発電量が緩やかに落ちてくれるならまだいいです。もしも日が暮れていく時間帯に、夕立など天候の悪化が重なった場合には、さらに急激に発電量が落ちることになります。


UkishimaSolar20120319.jpg


もし大量のメガソーラーが設置され200万kW→0kWなどと急激に変動するようになると、他の発電所の出力調整では追いつかなくなり、その時点で停電します。

停電を避けるためには、大量の蓄電池を設置して、昼間の余分な電力を吸収しつつ、夜間にかけて放電していく方法。あるいは昼間にメガソーラー側から流れてくる電気の量を抑えておく(出力抑制)、などの方法があります。

蓄電池の設置にどれだけの費用が必要になるかは試算されていて、太陽光2800万kWの段階で16.2兆円。3500万kWまで増えれば24..2兆円などとされています。

北海道に殺到したメガソーラー200万kW分で単純に割り算すれば、1兆円1000億円というところでしょうか。この費用はいったい誰が負担してくれるんでしょうね?


太陽光発電の大量導入に伴う投資額


メガソーラー側で出力抑制を多くする場合なら、設置する蓄電池は少なくて済むため、必要な対策費用も1ケタ小さくなります。そのかわりにメガソーラー側は売電できる時間を減らされるので、発電業者は損しますけど。

つまり大規模な出力抑制をするということは、せっかくの発電設備を休ませる期間が長くなるということでもあります。高いお金をつぎ込んだメガソーラーを遊ばせるくらいなら、最初から受入量をほどほどに制限した方がいいでしょう。



北海道にはメガソーラー以外の、風車とかバイオマス発電所を造ればいい


孫さんは「太陽光エネルギーをつくっても意味がない」などと文句を言ってるみたいです。まあ実際、最大出力が200万kWだろうが300万kWだろうが、肝心のピーク時間に発電量0になる北海道にメガソーラーを増やしても「意味がない」し、増やしすぎればむしろ有害ですらあります。

そもそも自然エネルギー増やしたいだけなら、なにも太陽光にこだわる必要もないわけで、発電量の変動が少ない地熱や水力やバイオマスだってあるんですよね。

風力は風によって発電量は大きく変動しますけど、太陽光とは変動パターンがずれるので、太陽光ばかり集中して増やすよりはいいでしょう。太陽光の買取価格42円に比べれば風力は23円などと安いので、少なくとも消費者の負担は減らせます。

発電業者はメガソーラーみたいにラクに儲けられないかもしれませんけど、手間暇かけて風力でもバイオマスでもやってもらえばいいのです。

それをやらずにメガソーラーばかりやりたがる理由は、「太陽光エネルギーが生み出す利益」が目当てだからなんでしょう。今の固定買取制度(FIT)は、楽して儲けやすい所にばかり資金が集中してしまう仕組みですし。

業者の利益目的以外で、どうしても北海道で太陽光エネルギーを増やさないといけない理由があるなら教えて欲しいです。



メガソーラー造るなら東北や関東にしてエネルギーの地産地消に


北海道に建設しようが、東北や関東に建設しようがメガソーラーは全国一律で42円です。できるだけコストを安く上げた方が、業者の利益は増えるでしょう。その結果、地価が安くて広い土地も確保しやすい北海道にメガソーラーが集中することになりました。

しかしコストカットで業者の利益は増えても、消費者の負担は42円のままで変わらないんですよね。それどころか、ある地域にメガソーラーが集中すれば、むしろ負担は増える計算になります。

孫さんも言っていたように、北海道から余った電気を送る(その逆も)ためには送電線を増強する必要があります。たとえば「北電は風力とメガソーラー計約270万キロワットを受け入れるための送電網増強などで約7000億円かかる」とされていました。
再生エネ発電大規模導入、1兆1700億円必要 北電・東北電が試算 :日本経済新聞

発電業者は送電線も蓄電池の費用も負担しませんから、無責任に「送電線増やして受け入れろ」などと言うのでしょう。送電線とか蓄電池の設置費用は他人に払わせておき、自分は土地が広くて安い北海道にメガソーラー造っておけば、自らの利益を最大化することができます。

その結果、逆に電力消費者の負担は最大化されてしまうわけです。これらの送電網の整備費+毎年の維持管理費などは、最終的に電気代を値上げすることで回収されますから。

あるいは今回経済産業省が設置する蓄電池のように、政府が補助金を出して整備するなら形なら、最終的に納税者としての負担になります。

北海道のメガソーラーは42円固定価格買取のまま、東北やら関東までの送電費用の方だけはしっかり膨らんで、トータルでの負担は増えてしまいます。

そんなバカバカしいことをするくらいなら、電力需要がある東北や関東に直接メガソーラーを造ればいいでしょう。「エネルギーの地産地消」ってやつですかね。

どこでも42円買取は同じですから、余分な送電線の建設費用がいらない分だけ、最終的な国民負担も少しは抑えられます。北海道に比べて土地代などのコストが増えれば、メガソーラー業者の利幅も多少減るかもしれませんけど。

日射量の少ない日本海側や、土地の確保が難しい都市部など、メガソーラーは難しい地域もあるかもしれません。まあ、そんな地域では他の再生可能のエネルギーやればいいし、どうしても太陽光にこだわりがあるなら、住宅や工場の屋根にソーラーパネル設置してもいいでしょう。

たしかあの界隈の人たちも「エネルギーの地産地消」とか言っていたような気がします。それが今になって、北海道に大量にメガソーラー造って他地域に送電するのが当たり前、みたいに言っていて矛盾を感じないんでしょうか。



自前で蓄電池設置+出力抑制して、メガソーラーの不安定さを補う


送電線を建設するにしても、時間も費用もかかるのですぐには無理な話でしょう。ドイツあたりでも地元住民の反対運動や資金不足など問題があり、思ったように送電線が建てられず困っていますし。

そこで北海道では当面の対策として、経済産業省が税金300億円投入して容量6万kWhの蓄電池を設置したり、電気が余る時間にはメガソーラーの出力を抑制してもらう、などの方法が取られます。
経産省、無制限で太陽光発電抑制-北海道電の要請可能に:日刊工業新聞

その中には、「2000キロワット以上のメガソーラー建設では蓄電池設置を実質義務づける」、という話もあります。つまり自前で蓄電池を設置して変動を抑えれば、今後も北海道にメガソーラーを造ることは可能なんですよね。接続が制限されるのは、変動する電気をそのまま垂れ流す業者だけです。

東北電力が風力発電と蓄電池を併設した「出力一定制御型風力発電」というのをやっていました。これの太陽光発電版、みたいなものです。
出力一定制御型風力発電の技術検証結果ならびに系統連系随時受付の開始について| 東北電力

しかし問題となるのが蓄電コストの高さです。

今回経産省が設置した300億円の蓄電池で、受け入れ可能量が一割程度増える、とされます。今の太陽光の限度70万kWの1割だとすれば、ざっと7万kW分の受け入れ枠を増やせることになります。

この条件で考えると、たとえばソフトバンクが予定していたというメガソーラー合計18万kW分に必要な蓄電池の設置費用は、単純計算でざっと750億円というところでしょうか。

メガソーラー本体の建設費は 1kWあたり28万円とか言われるので、18万kW分だとすれば500億円ほど。蓄電池を併設すると、500億円+750億円=1250億円となります。蓄電池なしの場合に比べて、2.5倍の初期投資が必要となってしまいます。

あとは蓄電池が20年持つかが問題です。ナトリウム硫黄(NaS)蓄電池なら15年程度の寿命はあるとされますが、それでも太陽光発電の20年買取が終わ る前には寿命が来てしまいます。

NaS電池は火災事故も起きましたから不安もありますし、途中で交換が必要になればさらに+750億円です。残り5年分で割るなら250億円相当が追加コストにあたります。
2週間燃え続けたNaS電池、延焼範囲が想定以上に拡大 - 日経ものづくり - Tech-On!

トータル1500億円ですから、蓄電池なしの場合に比べて建設費3倍ですね。これではいくら発電した電力を1kWhあたり42円とか38円で売ったとしても利益が出ないばかりか、かなりの確率で大赤字になりそうです。

それはつまり、北海道に大量にメガソーラーを設置した場合には電力供給の安定のために多額の費用負担が必要だ、ということの裏返しでもあります。

その費用を発電業者側が負担するなら誰も文句は言いませんから、好きなだけ蓄電池併設メガソーラーを造ればいいと思います。



自然エネルギー推進=他人のお財布をアテにする事、なのか?


さて、北海道で先着順から漏れそうなメガソーラー発電業者が取りうる対応としては、とりあえず以上のような感じでどうでしょうか。

  • 1、北海道ではメガソーラー以外の自然エネルギー事業をやる
  • 2、北海道以外の地域でメガソーラーを造る
  • 3、蓄電池設置+出力抑制で自腹を切ってでも、北海道のメガソーラーにこだわる
  • 4、あきらめる


他の再生可能エネルギーには専門的なノウハウも必要だし、手間もヒマもかかかるので、1は難しいかもしれません。パネル並べるだけのメガソーラーとは違いますから、いきなり乗り換えるのは簡単ではないでしょう。

現実には2番か4番を取る業者が多そうな気がします。経済産業省も「メガソーラーは九州がオススメ」って言っていますし。

実験的な意味では3番とかも面白そうですが、発電事業者にとってはお金がかかるだけなので、簡単に「やりましょう」と言ってくれるかどうかはわかりません。

たまには自然エネルギー推進のために自腹を切って、お金を出す側に回ってもよさそうなものですけどね。今は自然エネルギーを口実に電気を少しでも高く売って、消費者からの補助金をたくさんもらうことばかりに熱心ですが。


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タグ : 再生可能エネルギー 太陽光発電 

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