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太陽光発電に税金を課し、高すぎた補助金を払い戻させるスペインの制度



ここ最近、再生可能エネルギーへの優遇策を見直しているスペイン政府。今度は、太陽光発電などの売電収入に対して課税する、という法律が作られる方向です。

スペインは再生可能エネルギーを普及させるため、自然エネルギーを高値で25年~28年間買い取り続ける、という補助政策をやっていました。

それが裏目に出て、投機目的に太陽光発電などが大量に設置される自然エネルギーバブル的な状況が発生。自然エネルギーを25年以上買取り続けるという、多額の支払い債務をスペイン政府が背負うことになっています。

買取価格を引き下げたり、今年に入ってからは新たな買取はしない、ということで再生可能エネルギーへの助成は停止します。すでに設置されていたものについても、年間の買取量に上限を設けています。

しかし買取価格の遡及カットについては、業界団体が反発していました。その中で再生可能エネルギーの費用負担をどうにかするための苦肉の策が、売電への課税ということです。
Spain Targets First Cash From Renewables With Energy Tax


スペイン:累積赤字解消のための発電税の導入を閣議決定 [PDF]

 政府は 2012 年 9 月 14 日の閣僚会議において、発電税を導入する草案を承認した。この税の導入は、再生可能エネルギー補助などで発生した 240 億ユーロに及ぶ赤字の削減を目的としている。

  草案では、発電設備の種類にかかわらず売上に対して 6%の課税を行うとしている。7 月に発表された案では、原子力、石炭、コージェネ、コンバインドサイクルには 4%の課税、風力 11%、太陽光 19%、太陽熱 13%となっていたが、発電種別による取扱いの不公平さが問題となっており、本案では電源種別にかかわらず一律の課税とした。

 また、原子力と水力に対しては、更に新たな課税が導入される。その他、天然ガス、石炭、燃料油等にも「グリーンセント」と呼ばれる税を導入する予定。政府はこれらの税により年間 27.4 億ユーロの増収を見込んでおり、2013 年には電力の収支を一致させたいとしている。今後、国会での法制化を経て、2013 年より発電税が導入される予定。



高すぎた買取費用を、税金を課すことで払い戻させる


固定買取制度(フィードインタリフ)では、すべて固定された価格で20年以上の長期間買い取られます。この価格が高すぎれば、重い負担が長期間続く事になり、ドイツみたいに電気代が値上げされたり、スペインみたいに政府が債務を負うはめになります。

もともとスペイン政府は、過去に約束した分まで買取価格を引き下げることを目指していました。しかし買取価格を事後的に変更するとなると法的に問題があり、投資家がスペイン政府を訴えるという騒動になり断念されます。
スペイン:太陽光発電の起業家が破たんの危機-補助制度見直しで暗転

そこで代わりに、売電収入に税金を課すことになります。

固定された売電価格のままなので、税金がかかってコストが増えても値上げはできません。そうすると売電収入に税金がかかる分だけ業者のもうけは削られ、投資家の手元に入る金額は減ります。

これは売電価格が固定されていて後から変更できない、という点を逆手に取れる方法です。払いすぎた補助金分を、税金として払い戻させる、クローバック(回収)制度ともいえます。

お釣りを返します

チェコでも太陽光発電で膨らみすぎた負担を減らすため、太陽光発電への課税が行われます。課税なら法的にも問題ない、との判断がチェコの裁判所では出ています。
The Czech Republic approves retroactive tax on PV arrays

ブルガリアあたりもチェコの真似をして太陽光発電に課税しようとしているそうですが、スペインもこれに続くことになるのでしょう。



固定買取されていないものに課税すれば、消費者の負担も増えるかもしれない


スペイン政府は当初、風力11%、太陽光19%、太陽熱13%など、もっと高い税率を考えていました。しかし業界団体の反対などもあって、一律6%の課税となりました。
再生可能エネルギーに課税 スペイン再生可能エネルギー生産投資協会が全国で抗議集会を開催

しかし一律課税にすると、自然エネルギー債務の負担軽減という点からは問題も残ります。

自然エネルギーなど固定価格で売電されているものは、税金をかけられても売電価格は固定なのでそのまま。税金分は事業者・投資家の持ち出しで、払いすぎた補助金を払い戻すような形になります。

しかし固定買取の対象になっていない発電設備では、税金分だけ売電価格を値上げして、自由にコストを転嫁することができます。売電価格が上がれば電気代も上がり、最終的な税金分の負担は電力消費者にまわってくることになります。

そういうわけでチェコでは太陽光発電のみ、なおかつ過去2年間に契約された分に限定して課税されているようです。

まあ、スペインの場合は財政運営が厳しいので、単純に税収を確保したい、という思惑もあるのでしょうが。「年間 27.4 億ユーロの増収を見込んでおり、2013 年には電力の収支を一致させたい」ということで、スペイン政府の自然エネルギー債務の増加はとりあえず止められそうです。

日本円にすれば3000億円弱の金額ですが、スペインの経済規模や、失業率25%という現在の経済状態を考えると、けっこうな負担額です。これを太陽光バブルで大儲けした投資家に負担させるのか、それとも電力消費者の側に負担させるのか、という問題です。



補助金頼みのビジネスには政策が変更になるリスクがある


日本でも周回遅れで再生可能エネルギーの固定買取がはじまって、メガソーラーであぶく銭を稼ごうとする参入業者も出て来ました。

エコファンドと称して投資資金を集めたり、「自然エネルギーに投資して老後の年金がわりにしよう!」、みたいなオイシイ話をする金融業者もいます。

まあ一応は20年の買取が保証されるから大損はしないでしょうが、電気代が値上がりして問題化するようになれば、チェコやスペインみたいに税金を課されて、目論見が崩れる可能性はあります。

買取価格が高いほど国民負担も重くなりやすく、政策や税制が変更される確率も高くなる。高すぎる売電価格は、長期的に見れば自分のビジネスのリスクも高めることになります。短期的に小銭が稼げればそれでいい投機家には、関係のない話かもしれませんが。

目先のお金儲けのためならともかく、老後になけなしのお金を投資しようと考えている人は、そういうリスクも頭に入れておいた方がいいでしょう。

社会貢献のためにと考えている人にとっては、寄付したと思えばあきらめもつくから別に問題はないはず。電気を高く買い取らせて他人に負担を課すような仕組みの買取制度を、社会貢献を考えている人が利用することは無いとは思いますが。

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タグ : 再生可能エネルギー 太陽光発電 スペイン 税金 

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