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ドイツの電気代が1年で11%も上がり、80万世帯が電気代を払えなくなる



ドイツで10月15日に発表された2013年再生可能エネルギー買取費用の分担金は、1kWhあたり5.3ユーロセント。2012年現在は同3.6ユーロセントなので、1年でほぼ1.5倍に増えることになります。
Political storm brews as German energy prices set to surge

わずか1年で1kWhあたり1.7ユーロセント、2円近くも上がるのですから、固定買取制度(FIT)が電気代に与える影響にはすさまじいものがあります。しかも固定価格での買取りは今後20年間は続くので、2030年頃までは上がりっぱなし。

この再生可能エネルギーの買取費用というのは発電に関するコストですが、ドイツでは他に送電線の建設費用などもかさんでいます。送電に関する費用等での値上げも含めると、来年2013年のドイツの電気代は平均11%ほど上がると想定されています。

Heating is becoming a luxury in Germany



太陽光発電が予想以上に増えて、電気代も予想以上に上がる


昨年のドイツ政府は、電気料金は現在の水準から上がらない、と言っていたようです。しかし実際にはその後も値上がり続きでした。
Energy Turnaround in Germany Plagued by Worrying Lack of Progress

それでもまだ電気料金の高騰は止まらず、来年にはさらに11%の値上げが待っています。

というのも、2010年と2011年に太陽光発電の設置が増えていました。その増加ペースは当初目標の2倍から3倍。「ドイツは太陽光世界一」などともてはやされていましたが、今になってその請求書が届いただけです。

太陽光発電はコストが下がるとか何とか言われますが、まだコストが下がってもいない段階で2倍も3倍も大量に増えてしまったら、高くつくのも当たり前です。ドイツ政府は買取価格の設定とか、買取費用が必要になるかという予測を完全に見誤りました。

日本でも太陽光発電は税込み42円/kWhというかなり高い価格設定になっています。その結果、固定買取を利用した売電で一儲けを企むオリックスなどは計画を前倒しで進めるとしています。買取価格が高いうちにたくさん設置してしまえ、というわけです。
太陽光発電、年度内10万キロワットに

実際に高値買取が始まって1ヶ月の時点でも、すでに年間目標の2割に達するというペースです。通年では目標の2倍前後になるペースですから、日本の政府も予測を見誤っている可能性が高い。まあ、今後のペース次第ではありますが。
再生エネ買い取り進む 太陽光先行、膨らむ家庭の負担  :日本経済新聞



普及のペースと負担の増加を制御するために限度を決める


買取価格の設定だけで参入業者者の投資行動を思い通りにコントロールできる、などと考えた事がそもそもの間違いでしょう。買取価格の水準の決め方の難しさは、固定買取制度の欠点として以前から指摘されていたことです。

固定買取という制度では、再生可能エネルギーがどれくらい増えるか予測が難しく、買取価格が高すぎれば負担が大きくなり、逆に買取価格が安ければ普及が進まない。

ある程度は業者の自由意志に任せるにしても、イタリアが最近やりはじめたように年間の補助金総額には上限をつけるとか、直接的に規制しておけばよかった。

ドイツでも今年の4月以降の分から太陽光発電の買取制度が改定されて、年間の導入量が増えすぎた場合には買取価格が自動的に引き下げられるようになりました。

またドイツのアルトマイヤー環境大臣によれば、今後は風力発電やバイオマス発電についても、太陽光と同じ様に導入量にキャップをつける可能性があるようです。太陽光発電への優遇策が引き締められれば、あふれた投資資金が風力とか他の部分に流れてくるかもしれませんし。
独環境相が風力とバイオマスの電力買い取り、段階的に廃止へ



既設の発電設備の買取価格を、契約後に引き下げるのは難しい


ドイツ政府は太陽光発電の買取価格も引き下げも決まりました。太陽光発電業界のロビー活動のおかげか、建設中だったメガソーラーは9月までに完成すれば以前の高い買取価格が適用される、という修正がドイツ議会上院で行われたようですが。

また、引き下げられるのは2012年4月以降に設置された新規分についてだけ。それ以前にすでに設置されたものは、高い時の固定価格で今度20年間の買取のまま。

スペイン政府のように、過去に設置された太陽光発電の買取価格まで引き下げようとした例もあります。しかし過去に設置されたものまで変更すれば、契約を後から変更することになりますから、契約という概念のあるまともな資本主義国家では難しい事です。

チェコ政府がやったように、買取価格は変えないかわりに売電収入に高い税金をかけて、あとから回収するという手がありますが。そうやって取ってきた税金を電気料金の値下げなどに使えば、買取価格を下げたのとほぼ同じことです。
The Czech Republic approves retroactive tax on PV arrays

買取価格をあとから引き下げるのは難しくても、消費者の実質的な負担を軽減することはできなくもありません。しかしチェコと違って、ドイツでは業界団体の力が強いようですから、政治的にそれが実行可能かどうかはわかりませんが。



ドイツに習うべきポイント


今回の電気料金のさらなる値上げで、80万世帯が遠からず電気代を払えなくなると、ドイツの消費者団体などは抗議しています。
800.000 German Households Can No Longer Pay Their Energy Bills

「ドイツでは暖房がぜいたく品になる」などと皮肉られていますが。社会福祉団体によると、すでに長期失業給付の受給者20万人が、電気代が払えず電気を止められたことがある、という推計もあるようです。
Germany's Nuclear Phase-Out Brings Unexpected Costs

企業活動に目を向けてみても、アパレル業界が再生可能エネルギー買取費用の負担金支払いを拒否して違憲訴訟を起こしたり、電気料金の上昇や電力供給の不安定化であったりと問題に直面しています。
Germany facing power blackouts

そういう負担の問題さえ考えなければ、自然エネルギーでも子供手当てでもいくらでも増やしたいでしょうけどね。それを成功と呼ぶのか、失敗と呼ぶのかは知りません。まぁ、成功よりも失敗から学べるものの方が多いとも言いますが。

日本も”ドイツを見習って”、目標の2倍も業者が参入してくるような高すぎる買取価格は引き下げるとか、電気代が上がり過ぎないように買取枠に上限をつける等、やっておいた方がいいでしょう。

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タグ : 再生可能エネルギー ドイツ 太陽光発電 

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