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太陽光発電による電気料金の値上げをめぐり、ドイツで訴訟沙汰に発展



再生可能エネルギーの導入によって電気料金が急激に値上がりしているドイツで、「再生可能エネルギーの助成金のために生じるEEGの分担金は違憲である」との訴えが起こされました。
14 - 21 August 2012 再生可能エネルギー法めぐり違憲訴訟 繊維衣料品産業連盟が訴え

ドイツで発電された電力の2割ほどが再生可能エネルギー、日本では水力発電を中心にまだ発電量の1割ほど。現在はドイツの方が1割程度多いですが、その代わりに電気料金の値上がりも続いています。

再生可能エネルギーの普及を促すための補助金として、通常の電力価格よりも高く買い取られているためです。特にここ数年の太陽光発電のバブル的な拡大もあって、ドイツ再生可能エネルギー法(EEG)の買取費用の総額は、1年間で160億ユーロ=1.6兆円まで増えています。

EEGの分担金は、電気代に上乗せされる形で負担されます。その結果、現在では電気料金への上乗せ金額は1kwhあたりで3.6ユーロセント。現時点でも電気代に15%ほど上乗せされていることになります。
2012年8月21日(火) 揺れるドイツの自然エネルギー政策 - NHK 特集まるごと

太陽光の発電量は、再生可能エネルギー全体の15%あまりにすぎません。ところが、電力買い取りのために利用者が負担した費用を比較すると、ほぼ50%に相当する7640億円が太陽光発電に当てられているのです。 「最近は市場の6割を中国製のパネルが占めています。残りの4割も韓国や台湾製などが多く、ドイツ製はそれ以下というのが現状です」

ドイツ政府も太陽光発電の買取価格を引き下げたり全量買取制度をやめるなど、すでに負担金を抑制する方向に動いています。それでも既に買取が決まっている分は、過去の高い買取価格のままで20年間の固定買取が続きます。そのため少なくとも20年くらい先までは、一度値上がりした電気料金はなかなか下がりません。

そして将来的に必要な補助金は、2031年の段階で1500億ユーロ=15兆円とも予測されています。先の予測では1000億ユーロ=10兆円だったようですが、実際に必要な補助金額は予想の1.5倍程度にまで膨らむ可能性があります。
Germany’s Renewable Subsidies to Rise 50%, Handelsblatt Reports

「早急な対策が必要です。投資が過熱し、太陽光発電への負担金は限度を超えています」 買い取り価格を、制度の導入時と比べて70%あまりも引き下げることにしました。さらに近い将来、太陽光発電の設備が一定の数に達した時点で、優遇制度での買い取りはやめることを決めたのです。

再生可能エネルギーのコスト負担増加でドイツ産業の競争力と雇用が失われる

ドイツの紡績会社では、従業員一人あたりで年間5000ユーロ=50万円の負担増になっている会社もあるようです。このコスト分を価格転嫁できなければ、別の何らかの方法でコストを削減するしかありません。社員一人当たりの給与を50万円ほどカットするとか。

コンビニとかレストラン業界のように、競争相手も同じドイツ国内の企業であれば、電気代の負担が増えても価格転嫁することは可能です。競争相手も同じだけ電気代を負担しているわけですから、競争上で不利になるという事はありません。
(値段が上がるので、売り上げが落ちる可能性はありますが)

これが海外製品との競争にさらされている企業だと、簡単に価格転嫁はできません。電気料金が安い国外の企業が競争相手だと、ドイツ企業はコストが高い分だけ競争で不利になってしまいます。

今回訴えを起こした繊維・アパレル業界も、価格に転嫁しにくい企業のひとつでしょう。他にも、鉄鋼会社がドイツ国内の工場を閉鎖するなど、エネルギー価格上昇の影響も出ています。何より皮肉なのは、ドイツのソーラーパネル工場が中国メーカーなどとの競争で赤字だったり倒産続きなことでしょうか。
Rising Energy Prices Endanger German Industry (エネルギー価格の上昇がドイツの産業を危機に追いやる)

最悪の場合はコスト削減のために国外に移転するか、あるいはコスト競争に敗れて倒産するかという形で雇用が失われます。

さらに倒産した企業が負担するはずだったEEG分担金は、別の誰かが代わりに負わねばなりません。その分他の電力消費者の負担も増えることになります。そうしてドイツ経済や国民生活に影響はますます大きくなります。


「ドイツの繊維業界は脱原発に賛成です。しかし今のやり方には問題があります。このままでは、我々は国際競争力を失ってしまうでしょう」 「値上がりが続けば会社の存亡に関わります。従業員の解雇も考える必要が出てきます」

再生可能エネルギー法めぐり違憲訴訟
繊維衣料品産業連盟が訴え

…ウーインゲン紡績は昨年、従業員1人当たり5000ユーロに上るEEGの分担金を拠出、これは年間売上高の3.6%に相当するという。また、従業員180人を抱えるフォヴァロン社は18万ユーロの分担金を支払っている。

繊維衣料品産業連盟のバウマン代表は、「エネルギー転換によって生じるコストは雪だるま式に膨れ上がる恐れがあり、計り知れない」として、再生可能エネルギーの助成金のために生じるEEGの分担金は違憲であるとの見解を表明した。


再生可能エネルギー固定買取制度の逆進性

…連邦環境庁のフラスバート長官は、「エネルギー政策の転換によって生じるコストは、公正に分担されなければならない」とコメント。「過剰な電力料金が貧困者を生み出すような事態になってはならない」とし、「支払い能力のない消費者に対しては国が補助金を出すべき」との考えを述べた。

欧州委員会のエッティンガー・エネルギー担当委員も、電力料金の高騰に警告を発し、EEGの分担金に制限を設けることを提唱。「さもなければ、消費者や産業界が負担するコ ストに歯止めが利かなくなる」としている。

一方、レスラー経済相(自由民主党=FDP)は先頃、大量のエネルギー使用を必要とする大手企業に対し、2022年まで環境税の免除を打ち出したが、与党内からは環境税そのものを廃止すべきとの声が上がっている。


再生可能エネルギーの負担金は基本的にすべての企業や家庭に区別なく課されますから、このあたりは消費税と似ています。赤字の企業も黒字の企業も、あるいは高所得者も低所得者も区別なく、使った電力量により同じだけ負担します。

そうやって電気料金として負担したお金は、再生可能エネルギーを高値で買い取るための補助金として使われます。太陽光発電の全量買取など、有利な買取制度の元で利益を得ることができるので、どんどん資金が流れ込むことになります。そしてもちろん投資した資金には利子をつけて、電気料金から回収されます。
太陽光に540億円投資 オリックス社長が方針

消費税では「所得に対する逆進性」がよく言われます。負担の時点では所得にかかわらず、消費した金額に対して課税されるので、所得に対しては逆進性と呼ばれる状況が発生します。

しかし取ってきた税金を配る段階で、社会保障などとして平等に使われれば、むしろ再配分政策としても機能します。それでも再配分が足りないというので、軽減税率とか給付付き税額控除(負の所得税)など、逆進性対策も検討されていますが。

再生可能エネルギーの固定買取では、負担能力の区別なく電気代として全ての国民に課せられる。そうして取ってきたお金は、再生可能エネルギーの投資家へ利益を与えるための補助金として配られる。逆進性という見方からすれば消費税以上です。


消費増税法案が成立、解散時期が焦点に 早期解散なければ自民は問責提出も

 法案の成立で消費税は2014年4月に8%、2015年10月に10%に引き上げられる見通しとなった。2014年に引き上げられれば、1997 年以来、17年ぶりの消費増税となる。ただ、実際の引き上げは経済状況を勘案して時の政権が判断することになる。景気条項として名目3%、実質2%の成長を政策の努力目標とする。

 消費増税で見込まれる新たな税収は13兆5000億円。全額を社会保障4分野に充てる。



産業の競争力維持とか所得格差の是正のための分担

ドイツの家庭向けの電気料金はかなり高いですが、一方で産業向けの電力価格は比較的安く抑え込んでいます。
図録▽電気料金の国際比較

どこの国でも産業向け電力価格の方が安いのが当たり前ですが、ドイツの場合は住宅用と産業用で3倍近いような極端な開きがあります。
電気料金の各国比較について [PDF]

2009年ドイツ 産業向け電力価格0.105ドル/kWh、住宅向け0.289ドル/kWh

コストの高い再生可能エネルギーの割合を増やしながら、なおかつ国際的な競争力も維持していく。そのためには住宅用の電気を高くして費用を負担させるのが、唯一の解決策なのかもしれません。

海外との競争に晒される企業にとって、コストの増加は競争力に直結するものです。しかし一般家庭であれば、「電気代が高いのでドイツ国外へ引っ越します」、などという事もできませんから、ドイツ政府も遠慮なく電気料金を高くすることができます。

とはいえ、コストを負担できる能力には、企業ごと家庭ごとに大きな差があります。海外製品との競争にさらされる企業かどうか、家庭なら高所得層か低所得世帯かなど、負担能力には違いが出ます。

海外企業と競争する分野、低所得階層の家庭などは負担を軽くして、国内のみで競争する企業や高所得者には多く負担してもらう。というのがひとつの目安かもしれません。誰もが重い負担は嫌がるでしょうから、負担する・しないの区分けでは揉めそうですが。

ドイツの環境庁長官も「支払い能力のない消費者に対しては国が補助金を出すべき」と発言したり、経済大臣などからは環境税の免除なども提案されています。いろいろと負担軽減策が検討されているようです。

再生可能エネルギーによる電力価格の上昇が、ドイツの経済や生活へ与える悪影響を抑えるのはなかなか大変です。日本でも近い将来には、家庭の電気代が1.5倍~2倍になる見込みなので、他人事とも言っていられませんが。

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タグ : 再生可能エネルギー 太陽光発電 ドイツ 

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