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予算のムダ削減は失敗だったけど、次はエネルギーのムダを省きます



脱原発依存を掲げる政府の国家戦略室・エネルギー環境会議が出してきた3つにシナリオというのがあります。

しかし、すべてのシナリオで経済成長率を低く想定したり、エネルギー消費の伸びを最小の値で見積もっていたり、全体的に甘めで都合のいい数字が並んでいます。かつての民主党のマニフェストを思わせるような、実現性が怪しいものに見えます。
重要文書・データ − 話そう"エネルギーと環境のみらい"

そして、もし本当に実現するならば、電気料金が2倍に上昇するなど、日本の経済や国民生活に与える影響は大きなものになると試算されています。


2030年における3つのシナリオ
  2010年 2030年
  現在 ゼロシナリオ
追加対策前
ゼロシナリオ
追加対策後
15シナリオ 20~25シナリオ (参考)現行エネルギー基本計画
原子力比率 26% 0%
(▲25%)
0%
(▲25%)
15%(▲10%) 20~25%
(▲5~▲1%)
45%
再生可能エネルギー比率 10% 30%(+20%) 35%
(+25%)
30%(+20%) 30~25%(+20~+15%) 20%
化石燃料比率 63% 70%(+5%) 65%
(+2%)
55%(▲10%) 50%(▲15%) 35%
非化石電源比率 37% 30%(▲5%) 35%
(▲2%)
45%(+10%) 50%(+15%) 65%
発電電力量 1.1兆kWh 約1兆kWh
(▲1割)
約1兆kWh
(▲1割)
約1兆kWh
(▲1割)
約1兆kWh
(▲1割)
約1.2兆kWh
(+1割)
最終エネルギー消費 3.9億kl 3.1億kl(▲72百万kl) 3.0億kl(▲85百万kl) 3.1億kl(▲72百万kl) 3.1億kl(▲72百万kl) 3.4億kl
温室効果ガス排出量(1990年比) ▲0.3% ▲16% ▲23%(▲21%) ▲23%(▲22%) ▲25%(▲25%) (▲30%程度)
注1) 現行エネルギー基本計画における原発53%は大規模電源における比率(コジェネ・自家発を除いたもの)である。
注2) 括弧内はエネルギー起源CO2のみの数字。


脱・原発依存で化石燃料依存になる

右端の列のハトヤマエネルギープランを見ると、化石燃料が占める割合を35%まで下げるとしていた。原子力45%+再生可能エネルギー20%で、全体の65%が化石燃料以外の電源で占められる予定。

化石燃料への依存度の低下は、鳩山さんが言い出した2025年に温室効果ガスを25%削減する(2030年時点では30%程度)という目標にもあります。またエネルギー自給率が高まるとか、燃料の輸入が減れば国内に回るお金が増えるという面もある。

ドイツでも石炭業界が好況だったりします。石炭はドイツでも自給できるので、安定的に手に入るし価格も安い。お金も国内で回るので、経済への悪影響も小さい。排ガス規制の問題さえなければ、ドイツにとっては理想的なエネルギー源のひとつです。
ドイツの脱原発政策で石炭消費が増加-風力などへの移行難航

日本の場合は輸入に頼る事になるでしょうが、原子力0%,15%,25%のどれでも化石燃料の比率は高くなっています。特に原子力0のシナリオでは、現在よりも化石燃料の割合が増えているほどで、より依存度が高まることになる。

新しい3つのシナリオでは、再生可能エネルギーの比率を予定より10%~15%ほど増やすことになっています。しかし45%の予定だった原子力比率の低下の影響の方が大きいので、まったくカバーしきれていない。



CO2削減と脱原発のつじつま合わせのため、最終エネルギー消費は2割削減

化石燃料への依存度が高まれば、温室効果ガスの排出は当初の予定よりも増えてしまう。そこで数字の辻褄をあわせるため、使えるエネルギーを2割減らすことになっています。

特に化石燃料への依存が高まる原発0のシナリオだと、さらに省エネを数%引き上げる必要が出てきます。他のシナリオと同じ省エネ率のままだと、CO2削減幅が半分しか達成できなくなってしまう。そこで他のシナリオとの数字合わせのために、より大きな省エネが必要になるわけですね。

鳩山エネルギー基本計画でも、全体でのエネルギー消費を1割以上減らす目標でした。ただしその代わりに、エネルギー消費の電化を進め、電力部門では逆に1割ほどエネルギー供給を増やすことになっていました。

CO2を排出しないエネルギー源を考えると、どうしても原子力や再生可能エネルギーなどを利用しやすい電気の比率を増やすしか選択肢がない。

たとえば、ガソリン車を電気自動車などにシフトすること。仮にガソリン100%で走っている自動車を、化石燃料比率35%の電気で走る自動車に変えれば、65%分はCO2が減ることになる。大雑把ですが。

ところが45%の予定だった原子力を0%にすると言い出したため、電力消費も1割減で電化シフトが不可能になります。その結果、エネルギー効率がいいので増やす方針だった鉄道輸送に対して、逆に2割も減らせと要請する始末です。思いつきに振り回される鉄道関係者も大変です。
政府の唐突な要請、鉄道会社戸惑う 30年に電力量2割減  :日本経済新聞 



しわ寄せで電気代は2倍になり、GDPと給料にはマイナスに作用する

温室効果ガスの削減目標も引き下げられることにはなっていますが、引き下げ幅は5%~7%程度でしかない。原子力を45%→0%に引き下げる事に比べると、ほんのわずかな緩和でしかない。

脱原発とCO2削減の両方を追い求めるしわよせがどこへ行くかといえば、電気代の上昇であったり、経済成長率の減少として現れてきます。
経済影響分析結果一覧  [PDF]

まず電気代ですが、2030年時点での電力価格は、1.8倍から2.2倍程度には上がると予想されてます。実際にドイツでは10年前に比べて電気代が1.8倍になっているそうなので、この程度の値上がりは覚悟しておいた方がいいでしょう。ドイツは脱原発も、再生可能エネルギー普及目標も、まだ達成していない段階ですが。
ドイツの電力事情―理想像か虚像か― ②

また、全てのケース・全ての資産モデルで家計の消費支出はマイナスで、0.9%~7.6%は減少すると試算されています。輸出も同じく、全てのケースで2.4%~20%のマイナスとの予測です。

輸出拡大とか、内需拡大とか甘い話を言っている人もいますが、電気代が上がって生活に余裕がなくなれば、消費は抑えられ内需は縮小します。光熱費に支出を取られる分だけ、他のことに自由に使えるお金は減ることになりますから。
原発ゼロ、「経済にプラス」=再生エネで内需拡大-枝野経産相

その結果、どの試算でもGDPには1.9%~7.6%マイナスの影響が出るとされます。再生可能エネルギーや省エネ投資の拡大があったとしても、消費の落ち込みなどの悪影響が上回るのはほぼ確実。

また雇用者報酬は0.7%~13.0%のマイナスとなり、労働者が受け取る給料にも影響します。そして給料が上がらなければ消費も減って…以下ループ。

そして経済成長率が低くなれば、それだけ政府や地方自治体の税収も減るので、政府の財政再建の目標にも影響が出ます。財政が厳しくなれば増税か予算カット圧力が強まるので、社会保障の充実なども夢のまた夢です。



年率1%以上の経済成長は許されないエネルギー計画

これらの試算は、2020年まで平均で1.1%、2030年までは0.8%の経済成長率を想定した「慎重シナリオ」で試算されたもの。しかし、政府の経済成長戦略では2020年まで実質2.0%(名目3.0%)を目標にしていて、矛盾してるじゃないかとあちこちから突っ込みが入ります。
政府は「国民的議論」で戦略策定から逃げるな

突っ込まれた政府は1.5%成長を想定した「成長シナリオ」での試算も出してきます。このケースの試算では、エネルギー需要が増加し、化石燃料の消費が増えて、CO2削減効果が15%まで落ちるとなっている。
シナリオ詳細データ(成長ケース・低成長ケース追加) [Excel]

また経済成長に応じたエネルギー消費の伸びも、弾性値を0.1で試算していて想定が甘い。これはGDPが1%伸びた時、エネルギー消費は0.1%しか伸びないことを前提にしているが、過去のトレンドでは弾性値1.0くらいはある。

仮に弾性値1.0なら、実際のエネルギー消費の伸びは試算の10倍です。平均1%成長だとしても、エネルギー消費は現在より2割ほど増えることになります。

現在より2割増えたものを、現在より2割少ないレベルに抑える。ざっくり4割の省エネが必要という事になります。同じく成長率1%で弾力値0.5とした場合でも、3割の省エネが必要です。

3割や4割もの省エネとなると、実際にはかなり難しい。現実にはCO2削減のために経済成長率の方が抑制される形になるか、あるいはエネルギー消費の伸びで化石燃料の輸入が増え、CO2排出量が増加することになるのでしょう。

低い成長率にしかならないという想定をした上に、エネルギー消費への影響も最小で済むという甘い想定をアテにする。まったく現実味のない案に仕上がっています。



枝野大臣「もちろん、できないことを言ってはいけないと思います」

政府の日本再生戦略の目標成長率2%と、エネルギー・環境会議の想定する成長率1%の矛盾については、国会でも突っ込まれています。

そこで「成長率を高くした場合の試算を出すべきではないか」と問われた経済産業大臣の枝野さんの答弁がまた秀逸です。

第180回通常国会 衆議員予算委員会27号 平成24年7月12日(木曜日)

○齋藤(健)委員
 政府が二%目標を掲げておきながら、国民の皆さんに問うエネルギー供給構造の成長率の前提が一%だったら、国民の皆さんは戸惑うじゃないですか

…省エネ目標に関しまして、この三つの選択肢に共通の省エネ目標というのを掲げているんです。共通です、全部のシナリオに共通。

GDPは二割ふえるけれども、使うエネルギーは一割も少なくて済むという省エネ目標を掲げているんです。

…GDPが実質二割ふえてもエネルギーはむしろ一割少なくて済みますというのは、そういう極端な省エネシナリオだけを示して他の省エネシナリオは考えなくていいというのは、もはや政策ではなくて願望に近いものじゃないかと私は思います。

…エネルギーは、国民生活に直結する問題でありますし、産業競争力にも直結する問題でありますし、さらには、供給が不足してもすぐにふやせるという性格のものでもありません。供給をふやすのに、下手をすれば十年単位での時間がかかるようなものです。

 そういうものでエネルギーというものの性格を考えた場合に、省エネシナリオについて、願望に近いような目標だけを全部に当てはめて、もう一段低い目標でのシナリオというものも検討しておくべきだと私は思いますけれども、なぜそうしないのかということをお伺いしたいと思います。


○枝野国務大臣
 先生のような御議論がこれだけの原発依存体質をつくってきたんだなというふうに思いながら承っておりました。

 私どもは、昨年の東日本大震災の教訓を踏まえて、強い意思を持って原発への依存度を引き下げていく、これは私は大方の皆さんの、国民の意思だというふうに思っています。そうしたことの中で、省エネルギーをどれだけできるのか。もちろん、できないことを言ってはいけないと思います

 したがって、総合エネルギー調査会の基本問題小委員会、むしろ脱原発派が少ないのではないかという御批判をさんざんいただいてきました、つまり、これまで原発に依存しないとこの国は回らないのではないかという自民党政権以来のメンバーの方々がかなり残っている構造の中でも、この省エネ目標についてはほぼ一致して、これは実行できる目標だということで、したがって、共通の目標としてしっかりと示させていただいているものでありまして、私どもに政権を預からせ続けていただければ、この目標は必ず実行いたします


「できないことを言ってはいけないと思います」とはまさにその通りです。まあ、結局あとになって成長率を1.5%とした「成長シナリオ」での試算も出してきて、その場合はCO2削減目標が達成できないことが明らかになるのですが。

ちなみに総合エネルギー調査会の基本問題小委員会には、飯田哲也さんとか大島堅一さんとか、あの手の人たちが入り込んでいます。経済成長率が低ければ低いほど、脱原発やCO2削減目標は達成しやすいですから。
資源エネルギー庁 審議会情報 総合部会

枝野さんの「私どもに政権を預からせ続けていただければ、この目標は必ず実行いたします」というのは、政権交代前の民主党議員の口からよく出たフレーズです。民主党のマニフェストのおかしな点を指摘されると、たいていこの言い訳で逃げ回っていました。

実際、過去には枝野さん自身もマニフェストの財源論について突っ込まれた時に、まったく同じ内容の発言で言い逃れをしています。

ムダの削減とは具体的に何を、いくら削るのですか、と聞かれても何も答えず、「やる気があるかどうか」の問題であり、「一度任せていただければ実現する」と言って誤魔化すありさまでした。


第162回国会 年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議
第3号(平成17年4月22日(金曜日))


丹羽議員 自民党の丹羽雄哉でございます。
……
 民主党さんのマニフェストを拝見いたしますと、要するに、徹底して予算のむだ遣いにメスを入れることによって 捻出をしていく、こういうことを主張なさっておるわけでございますが、民主党さんのマニフェストによりますと、足元で二兆七千億円に上る巨額な費用が必要 になるわけでございます。これを、具体的にどのような財源を削減することによって二分の一を捻出するのか、これについてお答えをいただきたいと思っており ます。

枝野議員 民主党の枝野でございます。
……
 難しいことではありません。政権をかえていただければ、やる気があるかどうかという問題であって、予算の組み立て方の枠組みで、今のように各役所の積み 上げ方式で予算編成している限りは大胆な予算配分の変更は不可能です。枠組みをしっかり決めて、その枠の中でやれということで上からおろすというやり方を すれば簡単にできることだというふうに思っています。一度任せていただければ実現をいたします


その後、民主党はみごとに政権交代をはたします。しかし結局、まとまった財源は出てこずじまい。そして子供手当てや高速道路無料化などのマニフェストを撤回することになります。

枝野さんも事業仕分けの総括役だったり、行政刷新担当大臣など「ムダをはぶく」ための中心的な役割を務めましたが、必要な財源をひねり出すことはできませんでした。

それどころか、管内閣の幹事長や官房長官、そして野田内閣の閣僚の一員として、消費税増税に向けて仕事をするハメになるわけですね。

まあ、なにも枝野さんに「やる気がなかった」から財源が出てこなかった、という訳では無いとは思います。最初から無理のある案だった、実現不可能な事を言っていた、というだけの話であって。どんなにやる気があっても、竹ヤリでB29は墜とせませんから。

民主党政権になれば 生活が楽になり 国内景気がよくなります

「特別会計も含めて200兆円ある総予算の1割くらいは削れるから、10兆円や20兆円くらいの財源は簡単に出てくる」というのが、政権交代前の民主党議員の決まり文句でした。確かにこれだけ聞くと、がんばれば達成できそうにも聞こえます。

しかし実際には、200兆円のうち削れない国債費や社会保障費が3分の2ほどをしめている。国債費とは要するに借金の返済や借り換えですから、それを勝手にやめることなどできません。また年金や医療の保険料として取ってきたお金を、子供手当てや高速道路無料化に流用したらえらいことです。

その他の削れないものを差し引くと、実際に削る余地があるのはせいぜい50兆円~60兆円。そこから20兆円削り出すというのは、予算を3割も4割削るという事になりますから、いかに難しいかは誰が見てもわかります。
【政権選択選挙】民主党マニフェストの財源

枝野幸男さんをはじめ民主党の政治家は、日本の財政について何も知らない無知な人たちだったのか? それとも、本当は知ってるけど知らないフリをしていた詐欺師だったのか? まあどちらにしても、「できないことを言ってはいけない」ですね。


今回の”エネルギー仕分け”で対象になるのは、使えるエネルギーを減らされる、そして経済や生活に影響が出る、国民ということになります。仕分けショウを楽しんでいた国民も、自分が仕分けられる側になったら喜んでばかりもいられませんね。

枝野さんによればエネルギーもムダを省けば2割や4割くらい簡単に削れるらしいし、「経済にもプラス」だという話ですが、果たしてどうなる事でしょうか。

いやもう結果は見えているような気もしますが。世論調査なんかを見てみても、実現性には疑問を持っている人がほとんどのようですし。

新報道2001調査結果 8月23日調査・8月26日放送

【問3】政府の「エネルギー・環境会議」は2030年代前半の原発ゼロを目標とする方向で検討に入りましたが2030年代前半までに原発ゼロを実現することができると思いますか。
実現できると思う 20.2%
実現できないと思う 76.8%
(その他・わからない) 3.0%
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