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調達価格等算定委員会の中立性確保と買取価格決定の難しさ



周囲からの圧力で算定委員会の人事が左右される

再生可能エネルギーの買い取り条件を決める調達価格等算定委員会は、第三者委員会として中立的な立場で買取価格などを決めることが期待されていた。しかし実際に出て来たのは、ほとんど業界の要望そのままの買い取り条件案だった。

思い起こせば昨年の暮れあたり、政府が示した人事案に国会での同意が得られず、委員を選ぶ段階から揉めていた。

主におひさまエネルギーファンド共同代表取締役である飯田哲也さんを中心に、算定委員の人事案に文句をつけていた。飯田さんが表の顔として使っているNPO法人・環境エネルギー政策研究所(ISEP)の所長名義で、その他過激派環境保護団体グリーンピースなども加わっていた。


メディアや政治家もそれに乗っかり、結局人事が差し替えられることになった。その結果、最初に人事案が出されたのは昨年2011年の年末だったが、実際に人事が固まったのは今年2012年の2月だった。

開催時期が大きくずれ込んだので、実際にコストを検証する時間もほとんど無くなった。実質的には業界の要望を聞いただけで、あわてて価格を決めることになった。

算定委員会の中立性を確保するため、その人事には国会の同意が必要となっていた。そのことが逆にメディアや政治的に利用された形で、中立性が怪しくなった。


電気代を払う人は口を出してはいけない?

再生エネ、買い取り価格決定前夜 「さじ加減」を注視
 同委員会は当初、産業界への過重な負担を懸念する鉄鋼産業出身の委員がリストに入っていたことに対して野党の一部などが反発。国会同意が遅れ、人選が変わったことが響き、第1回を開催できたのは3月6日。その後、毎週のように会議を開き、急ピッチで議論を進めてきた。

人事にケチをつけた人たちの言い分によると、電気をたくさん使う企業は利害関係者だから、算定委員会の委員にはふさわしくない、ということだった。

しかし、実際に買取にかかった費用を負担するのは電力の消費者になる。普通に考えれば口を出す権利くらいは十分にあるはずだが、なぜか電気料金を負担する者は口出ししてはいけないらしい。

むしろ電力料金を負担する産業界の代表が1人もいない状態こそ、中立性に問題が出ているのではないだろうか。そうして負担する側の人が外されたことが、業界団体の要望に近い買取案になった一因かもしれない。

買取費用を負担をする立場の者がいないと、真剣にコストを検証しようという意思が働きにくい。辰巳菊子さんあたりは、家庭など一般消費者の代表としての立場からか、業界側の要望にもわりと突っ込んでいたようではあるが。

 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会の理事・環境委員長で、消費者を代表する立場の辰巳委員がけん制したのは発電事業者がヒアリングの場で要望してきた買い取り価格が軒並み「高めの球」だったためだ。

  例えば太陽光発電協会が主張した買い取り価格は「メガソーラーなど非住宅用、住宅用とも1キロワット時当たり42円」。42円は現在、住宅 の太陽光発電で余った電気を買い取る現状の制度で設定している価格と同じだ。辰巳委員は「全量を買い取るのではなく、余った電気の一部だけを買い取る制度 なので、全量買い取りよりも価格は高くなるという話だったと記憶している」と苦言を呈した。
調達価格等算定委員会 第5回議事要旨


固定買取制度(FIT)以外は認めない

山内隆弘さんと山地憲治さんも不適だそう。その理由は、固定買取制度(FIT)ではなく割り当て制度(RPS)を選んだから、自然エネルギー間で競争をさせようとするから、とのこと。

山地憲治さんについては、孫正義さんの自然エネルギー協議会にも参加している。再生可能エネルギーそのものは推進するが、固定買取という制度には反対、ということらしい。
固定買取価格決定委員の山地憲治が、孫正義の自然エネルギー財団に飯田哲也と共に所属している話

アメリカの各州やオーストラリアなどRPS制度を採用している国も多い。RPS制度を推したからといって批判される謂れはないだろう。
各国におけるRPS制度、固定価格買取制度導入状況

飯田哲也さんは社民党の福島瑞穂さん、自民党の河野太郎さんなどをはじめ、与野党問わず政界へのロビー活動をしていた。FIT制度のすばらしさを働きかけていたのに、日本がRPS制度を採用したことがよほど気に入らなかったらしい。
飯田哲也(環境エネルギー政策研究所所長)の「履歴書」

また山内隆弘さんは、自然エネルギー同士で競争させるべきだ、と考えているようだ。しかし飯田さんらはそうではないようで、このあたりの考え方の違い、自然エネルギー推進のための方法論の違いからくる対立だろう。

結果、算定委員会の出した案では競争にならないように細かい価格設定になっている。たとえば風力発電の買取価格は20kW以上は23円、20kW未満は57円と2.5倍の価格差がついている。

◎「山内隆弘氏」と「山地憲治氏」は、次の理由から、不適格です。

1)ともに、RPS法(電気事業者による新エネルギー等に利用に関する特別措置法)で固定価格買取制度を批判してきた中心人物です。

2)山内氏は、国会参考人意見陳述でも、「一律の買取価格でエネルギー種間で競争」することを主張し、自然エネルギーの買取価格と期間を「住宅用太陽光(余剰電力買取)、大規模太陽光(全量買取)、その他」の3区分化を推進してきた中心人物です。

また、山地氏は、その一律の買取価格をとりまとめた経済産業省の新エネルギー部会長です。よって、「区分の細分化(太陽光、風力、地熱などの区分、形態、規模等により価格と期間を定める)」国会での修正・合意に反します。


FIT制度とRPS制度

日本では2003年からRPS制度が導入されて、全ての電気事業者に一定割合の新エネルギー(自然エネルギー)の調達を義務付けている。
平成23年度のRPS法対象電気事業者一覧

当時はFIT制度にするかRPS制度にするかで議論があったが、最終的にはRPS制度になった。FITでは適切な固定価格の設定が難しいこと、RPSではある程度の競争があり効率化でコスト低下させる効果もある、とされる点などから。

RPS 制度とFIT 制度:新エネルギー導入政策に関する研究
3-2-2 RPS 制度と固定価格買取制度の比較(政府の見解)

 第一に、対策効果の確実性の面でみると、固定価格買取制度は、価格設定を発電事業者にとって十分魅力ある水準に設定すれば効果は大きいが、固定価格を常に適切な水準に設定することは困難を伴い、仮に低すぎる水準に設定されれば、期待された導入効果が達成されない可能性が高い。

 また、このため、目標を確実に達成しようとすれば、価格は適切な水準より高めに設定され、しかもそのまま固定されやすい可能性があり、その結果、社会的コストが膨大なものとなり、経済効率性を欠く

 第三に、コスト削減インセンティブの面に関して、固定価格買取制度は、固定価格での買い取りが保証されるため、発電事業者側にコスト削減インセンティブが働きにくい。価格が仮に適正な水準より高めに設定された場合には、非効率な設備の導入が増加する懸念がある。

 また、一度設定された価格は、発電事業者等の予見可能性等を考慮すると、機能的な見直しに限界がある可能性があり、そのような場合には、発電コストが低下しても、最終消費者のコストは下がりにくい可能性がある。


今にして見ても、当時の指摘はけっこう当たっている。その後FITを導入したヨーロッパ各国では、主に太陽光発電の買取価格の設定に失敗してひどい目にあっている。

FITでは必ず利益の出る価格に設定されるが、実際に自然エネルギーがどれくらい増えるかは全く予想が出来ない。最近のドイツでは目標としていた数値の2倍も3倍も設置されていた。導入量(と負担)の増加がコントロールできない、というのはFIT制度の難点。

そうした欠点を補うため、フランスのように導入量(もしくは補助金総額)に上限を設けている国が多い。固定買取という形で補助してはいるが、導入目標を一定の範囲に決めておく、というRPS制度に近い考え方になっている。

なお日本のFIT制度(再生可能エネルギー法)では、今のところ導入量の上限などは考えられていない。場合によっては、かつてのスペインの太陽光バブルのように、国民の負担が一気に膨らむ危険もある。
太陽光発電の全量買取の買取価格が高すぎる、という全量買取賛成の人の意見


孫さんのロビー活動と政治的圧力

自然エネルギービジネスで事業拡大を狙うソフトバンク社長の孫正義さんは、政府や民主党をはじめとする国会議員などへのロビー活動に熱心だった。
孫社長「電力会社の票が欲しいか」民主議員に訴え

算定委員会は”中立的”な”第三者組織”ということになっているが、こうした政治的な圧力が影響していないとも言い切れない。(そもそも委員会のメンバー選びの段階から、メディアや政治からの影響を受けていたが)

孫さんらの要望を受け取った際に、経済産業副大臣の牧野聖修さんは「政府の意向と合致した良い提案をいただいた」という発言をしていた。ただのリップサービスだと思っていたが、算定委員会の出した結果はほとんど業界の要望どおりだった。

自然エネ協議会、再生エネ全量買い取りで政府に提言
…提言を受けて、牧野聖修・経産副大臣は「政府の意向と合致した良い提案をいただいた」と述べた。


悪質なセールスマンのようなやり口をする人達

孫さんが民主党へのロビー活動で使った資料では、各国が買取価格を引き下げる直前の2009年のデータを使っていたらしい。
孫さんが触れたくない事実 2009年のFITを引用する理由

飯田哲也さんらは、FIT制度の導入でドイツなどの自然エネルギーは爆発的に増えたと言う。しかし国民の負担も爆発的に増えている点には一切触れようともしない。
フィードインタリフ大好き!な話.

アメリカでは太陽光発電のコストが安くなったというような話もしていたが、実際は太陽光に補助金が投入されていて、安く見せられていただけだった。
(もし本当にそんなに安いのなら補助する必要なんてないので、FIT制度を推進することにも矛盾しますが)
「太陽光発電と原発のコストは逆転」は飯田哲也と共についた大嘘!



ここまで来ると、まるで詐欺師か悪徳セールスマンのようなやり口である。自然エネルギーの発電事業者にとっては、FIT制度のメリットが大きいのは間違いなく、だからこそ必死に売り込むのであろうが。

FITにもメリットもデメリットも両面あるはずだが、メリットばかりを語り、デメリットについては語ろうとしない人たちは信用ならない。良心的なセールスマンならデメリットも教えてくれるが、悪い人ほど「憎まれっ子世にはばかる」ものなのかもしれない。


買取総額を制限するか、”適正”な買取価格に近づける工夫が必要

そもそも再生可能エネルギー法の成立段階からして、菅直人さんが退陣との交換条件だった。最初から政争の具だったので、まともな制度になることを期待すること自体が間違いだったのかもしれない。

算定委員会に関しては、なかなか人事が決まらなかったため、業界側のデータを検証する時間が無かった面もある。今後はコストデータを提出させることにしているので、来年以降はもう少しまともな価格設定になる可能性もあるだろう。

しかし海外の事例でも、適正な価格の設定にはかなり苦労している。法案が出された昨年の時点でも、すでにFIT制度の問題は表出していた。さらに今年に入ってからもドイツは全量買取をやめスペインでは助成制度そのものを凍結イタリアは上限に達して補助金を休止するなど、混乱が続 いている。

FIT制度では適切な買取価格の決定がすべてだと言ってもいいが、その”適切な価格”の設定というのが、口で言うほど簡単ではない。特に太陽光発電に関しては価格の変動が激しいため、人為的に買取価格を決めること自体に限界も感じる。

最低限、ヨーロッパを見習って導入量や買取総額を制限することが、日本の制度にも必要になるだろう。

あるいは、買取価格の決定に(リバース)オークションや競争入札を使って、市場原理で価格が決まる仕組みを考えてもいい。それで”適切な価格”になる保証もないが、算定委員会だけで人為的に決めるよりはいくらかマシだろう。
再生可能エネルギーの固定価格買取に入札制度を

自然エネルギーは補助なしではやっていけないが、だからといって一切の競争が働かない、という制度も問題があるだろう。FIT制度は政府主導で行われる公共事業のようなものだから、入札などで業者同士が競い合うようにすることもひとつの案。

ただ、ここまで制度を大きく変えるとすると、法律自体の改正も必要になる。一応は、エネルギー基本計画の策定時に、再生可能エネルギー法も見直すことになっている。今の政治状況で、適切な見直しが可能なのかわからないが。


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タグ : 再生可能エネルギー 孫正義 飯田哲也 

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周囲からの圧力で算定委員会の人事が左右される再生可能エネルギーの買い取り条件を決める調達価格等算定委員会は、第三者委員会として中立的な立場で買取価格などを決める
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