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太陽光42円、小型風力57円など各業界の要望丸呑みの買取案に



再生可能エネルギーの固定買取の条件について、調達価格等算定委員会の案が出てきた。ほとんど業界側の要望を丸呑みしたような内容で、どれもかなり高い価格になっている。
再生エネ価格案決定・太陽光42円 普及優先、急ごしらえ


調達区分・調達価格・調達期間についての調達価格等算定委員会案
調達価格等算定委員会(第7回)‐配付資料
電源 太陽光 風力
調達区分 10kW以上 10kW未満
(余剰買取)
20kW以上 20kW未満
IRR 税前6% 税前3.2% 税前8% 税前1.8%
税込 42.00円 42円 23.10円 57.75円
税抜 40円 42円 22円 55円
調達期間 20年 10年 20年


電源 地熱 中小水力
調達区分 1.5万kW以上 1.5万kW未満 1,000kW以上
30,000kW未満
200kW以上
1,000kW未満
200kW未満
IRR 税前13% 税前7%
税込 27.30円 42.00円 25.20円 30.45円 35.70円
税抜 26円 40円 24円 29円 34円
調達期間 15年 20年


電源 バイオマス
調達区分 メタン発酵
ガス化バイオマス
未利用木材 一般木材
(含パーム椰子殻)
廃棄物系
(木質以外)バイオマス
リサイクル木材
IRR 税前1% 税前8% 税前4% 税前4% 税前4%
税込 40.95円 33.60円 25.20円 17.85円 13.65円
税抜 39円 32円 24円 17円 13円
調達期間 20年



ドイツの買取条件と比べてみても、日本はほぼ2倍~3倍は高い買取価格になっている(地熱だけが同じくらい)。

もちろん、自然エネルギーは気候風土の違いなどでもコストに大きな差が出るので単純な比較はできないが、それにしても2倍以上とはずいぶん高い。
調達価格等算定委員会(第1回)‐配付資料
ドイツ2012年1月時点でのフィードインタリフ買取条件表
※上の表は2012年1月時点のもので、4月からは太陽光発電の買取条件がさらに引き下げられる。10kw以下が19.5ユーロセント、1000kw-10000kw以下までは13.5ユーロセント、10000kw以上は固定買取制度の対象から外れる、など。



参考として、これまで日本で採用されていた電気事業者への自然エネルギーの割り当て制度(RPS制度)での調達価格を見てみると、風力10円、水力9円、バイオマス9円などとなっている。
新エネルギー等電気等の価格について

〔加重平均価格の推移(単位:円/kWh)〕
  H17年度 H18年度 H19年度 H20年度 H21年度 H22年度
風力 11.0 10.7 10.4 10.4 10.1 10.0
水力 8.4 8.4 7.2 8.9 8.6 9.0
バイオマス 7.6 7.7 7.8 8.0 8.7 9.4


算定の基準は業界団体が要望した価格

算定委員会の植田和弘委員長によると「高くもなく低くもなく」ということだが、そもそもコストについての正確な情報がない。

国家戦略室のコスト等検証委員会が出した、2010年モデルプラント方式の試算と比較しているだけ。
(そして植田和弘さんは、このコスト等検証委員会の委員でもあった)
コスト等検証委員会報告書(平成23年12月19日)

そのため、ほとんど業界側の要望そのままの値段となっている。初年度なので仕方がないのかもしれないが、こんな高い価格を続けていたら制度自体がもたないだろう。
再生エネ買い取り価格、業界の「言い値」

孫正義さんあたりも大喜びしているようで、そのはしゃぎぶりからすると事業者側にかなり有利な条件なのかもしれない。
42円が「世界的な相場に近い」ねぇ…いつの時代でしょうかね。


最初の3年間に建設すると優遇

再生可能エネルギー法の条文には、最初の3年間は利潤に配慮する、と書かれている。そのため通常よりも内部収益率(IRR)にして1%~2%ほど上乗せされることになった。呼び水として3年間は優遇することで、一気に投資を集めよう、という意図だろうか。

しかし、3年後には収益率が引き下げられることがわかっている。そうなると投資家は、収益率の高い最初の3年にどんどん建てておき、収益率が下げられた後は新規投資しない、という行動をとるかもしれない。

3年間だけ投資資金が流れ込んでバブルのように需要が膨らみ、その後はしぼむ、というのは産業にとっては最悪のパターン。収益率が下げられたら投資家は他のものへ資金を振り向ければいいが、設備機器など産業界はそうもいかない。

イギリスやイタリア、フランスなど、固定買取制度導入後2年もたたずに制度を大幅に改定するなど、大きな混乱を招いた例もある。

資料2 平成24年度調達価格及び調達期間 に関する意見(案)(PDF形式:1,675KB)
■ 実際には、施行後3年間は、例外的に、利潤に特に配慮する必要があることを加味し、これに更に1~2%程度を上乗せし、税引前7~8%を初年度の標準的なIRRとすることとした。 無論、3年間経過後は、この上乗せ措置は、廃止されるものである。

電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法 [PDF]
附則第7条
経済産業大臣は、集中的に再生可能エネルギー電気の利用の拡大を図るため、この法律の施行の日から起算して3年間を限り、調達価格を定めるに当たり、特定供給者が受けるべき利潤に特に配慮するものとする。


電源ごとのリスクに応じて収益率を差別化する

また、太陽光はIRR6%、水力7%、風力8%、地熱は13%、など電源ごとの収益率には差がつけられている。

もし得られる利益率が同じだと、より開発リスクの少ない物に投資したほうが事業者側は利益を得やすい。それでは不公平なので、リスクの高いものには高いリターン、リスクの低いものには低いリターンにする。

たとえば地熱発電は環境アセスが必要で、ボーリング調査から周辺地域との合意まで含めると10年以上のプロジェクトになる。手間と時間がかかり、開発に失敗するリスクも高いので、その分IRR13%と高めにして投資を促す。

逆に太陽光は環境アセスメントが不要で、土地の造成とパネル設置まで1年以内で終わる。投資リスクも小さいので、収益率は6%と低め。

そもそもコストデータの信頼性が不明なので、この収益率の数値も信頼できるのか疑問はある。また、これくらいの収益率の差で、事業者の行動にどの程度影響するかは、実際にやってみないとわからない。

■ 既に固定価格買取制度を導入した国では、電源に関わりなく、一律のIRR設定が行われている国があるが、我が国においては、同じ再生可能エネルギーといえど、電源ごとに異なる各事業固有のリスクが存在することに鑑み、異なるIRR設定を行うこととした。

具体的には、太陽光発電にやや低め、地熱発電にやや高めの設定とすることとした(参考1)。

さらに、住宅用や他の事業に付随して実施される事業等については、リスクが通常の発電事業に比して小さいことから、IRRは更に低く設定することとした。


電気代の上乗せは青天井?

再生エネ買い取り開始で家庭の電気料金負担増へ

 経済産業省は27日、7月の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度開始に伴い、月額の電気料金が7000円の標準家庭で月70~100円程度の負担増になるとの試算を明らかにした。


試算によれば、今後1年だけでだいたい1%~2%の値上げになるとのこと。それが買取期間が終わる20年後まで続くことになる。当時の海江田大臣は150円などと言っていたが、これでは2年で突破するペース。

この試算自体もあまりアテにならないので、負担増がこの範囲におさまる保証があるわけでもない。送電線増設の費用も必要で、実際の電気代の値上げはもう少し大きいだろう。
ドイツ、風力や送電網に26兆円必要

実際ドイツなどでは、2009年あたりから太陽光発電が目標の2倍~3倍のペースで急激に増えていた。そのため負担の増加も倍以上のペースで進み、わずか2年間で電気料金が10%近く跳ね上がった経緯がある。現在ドイツ人は月に14.7ドル(1200円弱)は負担している。
資料6 欧州の固定価格買取制度について(PDF形式:1.24MB)

他のヨーロッパ各国でも、ほぼ同様の事態が起きている。メガソーラーなどはパネルを設置するだけなので、半年から1年以内ですばやく建設でき、投機のターゲットになりやすい。

太陽光バブルを経験した各国はその後あわてて買取価格を削減したり、毎年の導入量に上限を設けている。イタリアでは導入目標を超えたので、次の年の補助金を停止する、というように。

ところが日本ではまだ補助金に上限がない。事業者はいくらでもメガソーラーを建設できて、電気を全て買い取ってもらえる状態。おまけに買取価格も42円と高いので、国民の負担額が青天井で増えてしまう危険がある。


電気代値上げによる間接的な負担増

もちろん一般家庭だけではなくて、企業などの負担増も大きい。企業が電気代値上げでコストアップとなれば、企業の商品やサービス値段も上がる。それも最終的には、商品を買う消費者の負担になる。

また、コストの増加分を価格に転嫁できない企業も多い。海外製品と競争している場合など、値上げすると売り上げが落ちてしまう。その時は企業の利益が減ったり、従業員の給料が減らされたり、ひどい場合は倒産という形で生活に影響する。

あとは病院などの場合、診療報酬額が国によって決められているため、電気代が上がったからといって勝手に値上げすることができない。そのため日本医師会などが、医療機関へのサーチャージを減免するように要望しています。
参考資料1 再生可能エネルギー電気の調達による賦課金等問題点の指摘と要望について(PDF形式:1.01MB)

あるいは、診療報酬を改定して電気代分だけ医療費を値上げする、という方法もあります。その場合は患者の自己負担が増えますし、医療保険を通じて国の負担も増える。誰がどう負担するか、というのはなかなか難しい問題です。

特に影響が大きいと考えられる電力が多く必要な業種、そして震災の被害を受けた需要家に対しては、負担が減免されることが法律で規定されています。

ドイツでも同じく、産業向けの電気料金はサーチャージの負担を軽くしてあり、企業の競争力が落ちないように配慮しています。しかし誰かが減免されれば、その分が他の人にかかってくるので、不公平感が出るなど問題もあります。

調達価格等算定委員会(第1回)‐配付資料
資料5 再生可能エネルギー特措法の概要と調達価格等算定委員会の検討事項

賦課金の特例
■ 電力購入量(kWh)/売上高(千円)が製造業については製造業平均の8倍、非製造業については非製造業平均の政令で定める倍数を超える事業を行っている事業所が一定量以上の電力購入量がある場合、その事業所についてはサーチャージの8割又はそれ以上が減免される。

東日本大震災により著しい被害を受けた施設等の電気の需要家について、一定の要件を満たす場合には、平成24年7月1日から平成25年3月31日までの間はサーチャージは請求されない。


この条件で持続可能な制度になるだろうか

この算定委員会の案を元に、最終的には経済産業大臣が買取り条件を決めることになる。環境、国土交通、消費者庁の各大臣にも一応は相談することになっているが、それほど大きく変わったりはしないだろう。

今回の買取案は全体的に見ても高いが、同じ種類の電源でも買取価格が大きく違っている点も気になる。たとえば風力発電では、20kW以上とそれ以下で2.5倍も買取価格が違う。

地熱や水力も同じで、小規模なものほど発電効率が悪くコストは高いので、元をとるために高い買取価格にするしかない。もちろん、その分の負担は電気代を払う家庭や企業にかかってくる。

あまりに効率が悪いものまでムリに普及させようすると、必要な補助金の額はどこまでも増えてしまう。国民は無限に負担できるわけではないので、もう少し効率よくやることを考えないと、制度そのものが長続きしない。


追加→なぜか既設の風力発電等まで固定価格買取制度の適用対象

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タグ : 自然エネルギー 

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まとめtyaiました【太陽光42円、小型風力57円など各業界の要望丸呑みの買取案に】

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