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屋根貸しソーラーと住宅用太陽光発電の全量買取の問題



屋根借りソーラーを推奨する太陽光発電業界

今年2月ごろに経済産業大臣の枝野幸男さんが、太陽光発電の屋根借り制度を認める方針だ、というニュースが流れておりました。
【電力】民家の屋根借り 太陽光発電事業 電力買い取り新制度

また孫正義さんのソフトバンクが運営するロビー団体の自然 エネルギー協議会も、この屋根借りソーラーなる制度を提唱しております。さらに太陽光発電業界が提出した要望書の中でも、この屋根借りシステムが出てきます。

屋根借りソーラー提言:NEWSアンサー 3月19日

太陽光発電の普及に向け提言書をまとめました。ソフトバンクの孫社長が事務局長を務める「指定都市自然 エネルギー協議会」は、企業や団体が一般家庭の自宅の屋根を借りて太陽光発電事業に参入できるようにするなど、自然エネルギーの普及に向けた提言書をまと め、経済産業省に提出しました。広い土地が少ない都市部では有望な事業で、孫氏は「自然エネルギーの普及につながる」としています。

業界がこれだけ熱心に導入しようというのですから、商売としてもおいしい話なのでしょう。固定買取制度(フィードインタリフ:FIT)が導入されているヨーロッパ各国でも、屋根借りソーラービジネスが行われているようです。

日本でもすでにDMMなどが「8万円ソーラーパネル」という名前で似たようなことをやっています。わずか8万円でソーラーパネルを設置する代わり、発電量の80%をDMMソーラーが持って行くというシステムのようです

 環境総研の村井哲之社長は、「屋根貸しは欧州では当たり前のビジネス。だが、日本には存在しなかった」と説明する。太陽電池で発電した電力は、初期費用などを勘案すれば“高価”なもの。ただ、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が動き出せば、一定の利回りが見込めるようになる。FITの導入で先行する欧州では、個人が年金代わりに投資するほどだ。

日経ビジネス 2012年3月19日号14ページ
太陽電池で「屋根貸し」開始-より


屋根貸しソーラーは全量買取になる

屋根貸しソーラーでは、一般の住宅の屋根・ビルの屋上などをソフトバンクのような発電事業者に貸す。そして業者がソーラーパネルを置かせてもらう代わりに、屋根を貸した住宅の持ち主は屋根の賃料としていくらかのお金を受け取る。

そしてソフトバンクなどの業者は、太陽光で発電した電気を固定買取制度で高く売って(40円とか)、その売電収入でソーラーパネルの設置費用を回収して利ざやを稼ぐ、というビジネス。

しかし日本では、住宅用の太陽発電は余剰電力のみ買い取る制度になっている。作った電気は自家で消費するのが基本で、余った分だけを高い固定価格で買い取る制度。
住宅での太陽光発電、「余剰買い取り制度」維持へ 経産省算定委

この余剰買取制度では、この屋根貸しソーラーは成り立ちません。太陽光で発電した電気を家庭が勝手に使うと、売電収入が減ってしまい、設置した業者はパネルの代金が回収できなくなります。

屋根貸しソーラーで利益を出そうと思えば、作った電気をすべて高い固定価格での売電にまわす必要があります。そのため、家庭用の屋根貸しソーラー制度は全量買取になる公算です。

調達価格等算定委員会(第3回)‐配付資料

□固定価格買取制度の施行により、屋根貸しビジネスモデルの普及が想定され個人住宅での全量買取適用が可能となると見られる


全量買取では電気を40円で売り、自分で使う分は20円で買う

ドイツなどのFIT制度では、家庭用の太陽光発電も全量買取になっていた。太陽電池で作った電気は、全量が高値で電力会社に売却される(40円とか)。そして家庭で使う電気は、電力会社から通常料金の安い電気(20円くらいで)を買って使うことになる。

なんだかバカバカしいシステムですが、日本でも屋根貸しソーラーで全量買取にするとほぼ同じことになります。屋根の上で発電した電気は40円で売り、下の家庭で使うのは電力会社から買った20円の電気。

そうして差額の20円がどこへ行くかといえば、、すべての電力消費者の電気代に上乗せされて負担することになります。

屋根貸しソーラーで一石三鳥だ、と一部では言われるが、そんなうまい話があるわけない。国民の負担という一石の重さが、3倍になるだけの話です。当然、石が重すぎれば国民は制度を支えきれなくなる、というのがヨーロッパ各国の教訓でした。
太陽光「屋根貸し」は一石三鳥? 不公平感に配慮必要


夢の永久機関、電気力発電

よく使われる冗談に電気力発電なんてものがある。扇風機の風で風車を回して風力発電とか、ポンプで水を汲んで水力発電などなど。



もちろんエネルギー保存則があるので、電気を無限に生み出す永久機関は作れない。しかし固定買取制度のおかげで、お金を無限に生み出すアイデアならあるようです。
再生エネルギー法により、夢の電力発電が実用化へ

20円で買ってきた電気を使ったLED光源でソーラーパネルを照らして発電し、その電気を40円で売ってしまえば差額の20円を無限に稼ぎ出せることになります。

まあ実際には電気を光に変える時にもエネルギー損失があるし、ソーラーパネルの変換効率もそんなに高くないので、これも実現不可能ですが。もし変換効率100%に近い光源とかソーラーパネル、そして電気料金よりも高い固定買取価格、という条件が揃えば、こういう錬金術も可能になるかもしれない、という制度の問題を皮肉った小話。


ドイツも全量買取をやめて自家消費を増やす方向に

ドイツでは太陽光発電のFIT制度が変更され、全量買取をやめて80%~90%(規模による)しか固定価格では買取られないことになります。残りは自家消費するか、市場価格と同じ安い価格で売電することになります。

また既に20年間の買取が決まっている太陽光発電への補助金が上乗せされ、電気料金の方は高くなりました。その結果ドイツの太陽光の固定買取価格は、電気料金よりも安くなっています。

その結果、売電するよりも家庭で使って電気代を節約する方が、お得な状態になっています。たとえば電気料金30円で売電価格20円のドイツであれば、太陽光の電気は自家消費して30円の電気代を節約する方が10円分だけお得です。

資料3 住宅用太陽光発電の買取方法について(PDF形式:798KB)
参考:ドイツの自家消費インセンティブ

ドイツでは、太陽光発電の急増によって系統への逆潮流が急速に拡大したため、発電した電気の自家消費(余剰化)を奨励するため、売電した場合との差額の一部を、家庭に還元する仕組みを2009年に導入

さらに、現在、この自家消費インセンティブを廃止し、小規模な太陽光発電については発電した電力量の85%80%のみを買取ることとすることで、残余の発電量については自家消費を促すという案を政府が連邦議会に提案中。


売電さえしなければ補助金は必要ないので、補助金が膨らんで電気料金が上昇することも抑えられます。またパネルを設置した家庭の方でも、自分で使えばその分買っていた電気代の節約になり、電気代と同じ(日本なら実質20円くらい)で売電したのと同じだけの利益を得ることができます。

「ドイツを見習え」と言うのであれば全量買取ではなく8割買取にして、さらに買取価格は電気料金よりも低く抑えておき(日本なら15円とか)、太陽光で発電した電気は自家消費することを基本とするべきでしょう。

日本では最初から余剰買取という形をとっていますが、太陽光がもっとも多く発電する昼間に節電すると、その分だけ電気をたくさん売れるのでお得になる。夏場の電力消費のピークでもある昼ごろに節電することになり、省エネとしての効果も期待されている。

ただ冬場は暖房需要がメインで、朝や夕方にピークが来ることが多い。太陽光発電のピークと、電力消費のピークは必ずしも一致しないので過大な期待はできません。
“冬の節電”要請スタート 朝夕ピーク、4カ月の長期戦


自家消費することでパネルを設置した人にも安定化の負担をしてもらう

また、自家消費を増やすことで電力系等安定化の費用も抑えることができる、という見方もある。全量買取のように電気をすべて売電して送電線に流すと、電力の需要と供給のバランスが崩れて電力網が不安定化する。

資料3 住宅用太陽光発電の買取方法について(PDF形式:798KB)

■ 全量買取の場合、全発電量がいったん系統に逆潮流してくるため、太陽光発電による発電量が同じままでも、余剰買取の場合より系統への負担が増えることとなる。

■ このため、逆潮流対策コストが増加するほか、太陽光発電の導入が進んでいった場合、系統容量の不足に陥る心配が強まる。

■ 実際のところ、ドイツでは逆潮流が増え、その対策コストが無視できなくなったため、これを修正するために自家消費を促す制度に変更を行った。このように逆潮流による系統対策コストは無視できない。


この場合は他の火力発電所などの供給側で、発電量を増やしたり減らしたりして調整する。しかし、これだと太陽光のバックアップ負担を他の発電所に押し付けることになるし、最終的に安定供給のための費用は電気代にも跳ね返ってくる。

これを自家消費を促すための制度にした場合。たとえば発電量の多いときは電気を多く使い、発電量の減った時は節約するとお得になる。パネルを設置した家庭自身が、太陽光の発電量に合わせて電気の需要側を調整することで、電力需給バランスの安定化の役割を果たすことができます。

やや晴耕雨読のような生活になるので多少不便ですが、ソーラーパネルを設置した人は補助金や固定買取という利益を受け取っている。それくらいの不便さは当然負うべき責任であるし、受益と負担の関係としては正しい形です。

屋根貸しやメガソーラーなどすべて売電するタイプに多額の補助金をつぎ込むよりも、自家消費させる方向にした方が太陽光発電のメリットが大きく、デメリットは小さくなりやすい。パネルを設置した家庭や業者の儲けは、全量買取で売電した場合より多少減るかもしれませんが、それだけ余分な補助金も減ることにもあります。

太陽光発電は商用電源としてはあまり期待できないが、家庭やビルや工場の屋根にも設置できるので、電気代の節約、省エネ目的として使う方向ならなかなか有効です。


屋根貸しソーラーは自家消費ができない

しかし屋根貸しソーラーの場合、パネルの所有権が業者のものなので、すべて売電に回さないと成り立たない。基本的に自家消費はできない仕組みになります。

家庭で使った分の太陽光の代金を、パネル設置業者に支払う形にすれば可能かもしれません。ただし、それだと電力会社から電気を買ってるのと何も変わらないので、家庭側にとっては得にもならない。

パネル業者に払う料金を、普通の電気料金より安くする、など工夫する必要があります。しかしそうなると、業者サイドにとっては商売のうまみがほとんど無くなる。電気代の2倍という高値で売電しないことには、屋根貸しソーラーはビジネス的に成り立たないものです。

それならそれで、屋根貸しソーラーなんて無理にやる意味はないですが。必要になる補助金の額、そして電力系等への負荷という点から、自家消費ができないような太陽光への補助制度は欠点が大きい。

どうしても補助したいなら、政府が好条件のソーラーローン制度を導入するとか、金利を減免するなどの優遇策をとればいい。住宅ローンのフラット35のように。屋根貸しをするくらいなら、自分でローン組んで買ってもらい、自家消費できるシステムに誘導するべきでしょう。


エコカーもタダで配って普及させるべきか?

ハイブリッドカーや電気自動車なども燃料節約で省エネやCO2削減になるので、エコカー減税など多少の補助金は出ます。

しかし、エコカーを無料で配って無理やり普及させるとか、そのための補助金負担をガソリン代に上乗せしろ、という話は出ない。そこまでやれば普通はバラマキだと批判が出るでしょう。「省エネだし雇用が増えるんだ」、といっても費用対効果は怪しい。

それが太陽光発電は固定買取制度で実質タダになり、むしろ利益まで出るような制度。それでもバラマキ批判があまり聞こえてこないのがなかなか不思議なところです。補助金は電気代の上乗せという形で、国民全体に広く薄くかかるので、負担の重さがわかりにくいせいでもあるでしょう。

エコカーが普及したのは、環境に優しいというだけでなく、燃費の良さでガソリン代の節約という経済的なメリットが出てきたからでした。

太陽光も経済的なメリットが十分出るようになってから、自然なペースで普及させる方がプラスが大きいでしょう。急がば回れで、そういう意味なら太陽光に多少の補助金を出すのもいい。

ヨーロッパ各国のように、急速な普及のためだけに太陽光だけで再生可能エネルギー買取費用の半分以上を食いつぶしてしまう状況がいいかどうか。他の自然エネルギーの2倍も3倍も補助金を出すほどの価値があるか、よく考える必要があります。

太陽光発電は主に家庭用の省エネ目的と割り切った方がいいとは思いますが、どうしてもメガソーラーなどで主力電源のひとつにしたいのなら、発電量の変動を補うためのバックアップ発電や蓄電などを備えた事業者だけ固定買取にする、など何らかの工夫が必要でしょう。
出力一定制御型風力発電の技術検証結果ならびに系統連系随時受付の開始について

もちろん、コストを大幅に低下させることが前提となりますが。他の自然エネルギーに比べても2倍という太陽光のコストに加えて、蓄電などバックアップ費用が加わるのでなかなか大変です。




ドイツ太陽光発電市場現地調査報告 [PDF]
―“国家政策原理”が生み出す“新・市場原理”―

4  しかし、投資需要が中心を占めるFIT 制度は、経済環境・投資マインドの変化による影響も考えられる。日本のように住宅所有者による屋根設置型の需要は極めて“健全な”市場とも言える

5  欧州では市場の成長性を保ちつつ、需要の健全性を高める動きが既に見られている。わが国は需要の健全性を保ちつつ、市場成長を促進する施策を投入できるかがカギ。

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タグ : 再生可能エネルギー 太陽光発電 

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