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ドイツ"脱太陽光"法案の可決と、太陽電池大手Qセルズ社の破産申請



太陽光の補助金カット法案がドイツ下院で可決

先日、太陽光発電の固定買取制度(FIT)の見直しについての法案が、ドイツ下院で可決されました。まだ上院での審議が残っていますが、上院でも可決されれば、4月1日までさかのぼって引き下げが適用される見通し。
ドイツの太陽光発電政策、大きな方針転換...買取価格の大幅引き下げ法案可決

 ドイツは再生エネルギーの普及を図るため、送電事業者に買い取りを義務づける「固定価格買い取り制度」を採用。これにより太陽光発電は急速に拡大し、設備容量で世界一になった。しかし価格は電気料金に上乗せされるため消費者負担が膨らんでおり、太陽光発電の普及を事実上抑制する形に方針転換する。

 法案によると、屋根に取り付けるなどの小規模発電は1キロワット時当たり24.43セント(約27円)から19.50セントに引き下げられる。規模が大きくなると引き下げ幅も拡大、5月以降も毎月価格を下げる。

当初は3月9日からの引き下げ予定でしたが、太陽光発電業界や環境保護団体、一部政治家の反発もあって、スケジュールが遅れていました。

この法案では太陽光発電の規模に応じて買取価格を20%~30%を引き下げ、さらに毎月およそ1%ずつ引き下げられていきます。そして発電量のうち80%か90%までしか買取られなくなり、全量買取では無くなります。残りの電力は自家消費するか、市場価格と同じ安い価格で売ることに。

そして重要なのが、導入量が目標を上回った場合に、後から買取価格をさらにカットできるようになったこと。ドイツの2012年の目標値は2.5ギガワット~3.5ギガワットで、2011年の導入量7.5ギガワットに比べて半分から3分の1に抑制されます。


Qセルズ社の法的整理が決まる

補助金カットの影響で、すでにドイツでは太陽光発電業界の破綻が相次いでいました。そして、かつてソーラーパネルの生産量世界一だったドイツQセルズ社(Qcells)も、ついに破産手続きに入ることが決まりました。
独太陽電池のQセルズ、法的整理を申請へ

今回のドイツの補助金削減で、太陽光発電の導入量が半分以下に減らされることになります。単純に考えれば、太陽電池メーカーの売り上げもさらに半減してしまうことになります。

ドイツ国内ですら、太陽電池シェアの70%~80%を外国企業に奪われている、といわれる状況。ただでさえ経営の苦しかったQセルズにとっては、補助金削減によって経営再建の可能性が完全に絶たれてしまうことになりました。

ドイツの太陽光発電関連企業だけ見ても、ソーラーミレニアム、ソロン、ソーラーハイブリッドなど、昨年暮れからの短期間で次々に倒産しています。
独Qセルズが破産申請へ-国内太陽電池大手の経営破綻相次ぐ


アメリカでは中国製太陽電池にダンピング課税

アメリカでもさらに倒産が続いていて、太陽光発電所の建設を手がけていたソーラートラスト社が破産。このソーラートラストは、昨年破産したドイツのソーラーミレニアム社の子会社でした。
米ソーラー・トラストが破綻-太陽光発電所完成前に

またアメリカでは、ドイツソーラーワールド社などが中国製ソーラーパネルに対して「ダンピング(不当な安売り)だ」と訴えていました。その結果、中国製品に5%ほどの報復関税が課されることになっています。
米国:中国製の太陽光発電装置に最大4.73%の関税-政府補助金に対抗

どうやら中国の政府系銀行が、有利な条件で太陽電池メーカーに融資していたとのことで、それが実質的に中国企業への補助金だとみなされたようです。それでも報復関税は価格の3%~5%程度とわずかでした。
ピックアップ@アジア 「中国企業が席けん/世界の太陽電池市場」

実際のところ、中国メーカーでも赤字を出している状態です。昨年2011年だけで太陽電池モジュール価格が46%下落した影響は、中国メーカーにも直撃していて、直近では売り上げが30%以上落ち込んでいたようです。
中国トリナソーラー、11年3800万ドルの赤字 

それでも中国系は元々が安いおかげで、欧米メーカーに比べればダメージは軽いのですが。中国政府から融資が受けられる限り、Qセルズのように資金繰りに行き詰まることもありませんし。

太陽電池Qセルズ、きょう破産申請へ[製造]
 Qセルズは先週、債務の株式化による事業再建策を断念する方針を明らかにしていた。経営難で同様の再建案を提示していた木材・建材大手プフライデラーに対し、フランクフルト上級裁判所がこれを承認しない判断を下したことを受けたもの。


太陽光の導入量は増えたのに倒産が続出

太陽光発電の導入量だけ見ると、2011年のドイツは前年よりわずかですが増えていました。2011年の年間7.5ギガワットの導入は過去最大でした。
(これはドイツ政府の当初目標の2倍以上なので、”増えすぎ”だったわけですが)

導入量が増える一方で、太陽電池の製造や、パネルの設置工事・発電所の建設などを手がける会社は次々に倒産しています。一見、矛盾するような現象が起きているようにも思えます。

その理由というのは、FITの補助金が引き下げられたため安売りせざるをえなかった、ということのようです。パネル価格がほぼ半額になるなど単価が大きく下がったことで、販売量は同じくらいでも売り上げ高の方は落ちてしまいました。それが太陽光関連会社の経営悪化に繋がった原因です。

ヨーロッパでは太陽光発電のコストが下がった、と言われていました。しかしその値下がり分のいくらかは、安売りした各社が赤字として抱え込んでいた。結果的にカットされた"コスト"というのは、破産して消えることになる企業の株価と債務、そして従業員の給料とクビのことだったようです。

[FT]補助金削減でドイツ太陽光発電の前途に暗雲
破産申請する太陽光機器メーカーも
 フィーノー・タワーの設計、資金調達、建設を行った太陽光機器メーカーのソーラーハイブリッドは先週破産申請し、ソロンソーラーミレニアムといったドイツの同業他社に続いた。欧州の太陽電池最大手、独Qセルズは、以前は好業績企業とみられていたが、現在は財務の再構築を行っており、27日、グループ収益10億ユーロ、純損失8億4600万ユーロという2011年度決算を発表した。

 フィーノー・タワーの建設に携わったエンジニア、ミカエル・ヒュフネル氏は「ドイツではこのような大プロジェクトは今後もう見られないだろう」と無念さを隠さない。

補助金引き下げで収益率が急減
 フィーノー・タワーのプロジェクトを立案したソーラーハイブリッドのトム・シュレーダー最高経営責任者(CEO)は「数年前は、投資収益率 は10~13%ぐらいだった」と話す。同氏によると、2年間にわたる補助金引き下げにより収益率は6~7%に下がったが、今回の引き下げで新規プロジェク トの経済性はさらに悪化する見込みだという。


それでもドイツの太陽光発電は成功らしい

再生可能エネルギーの買取条件を決める調達価格等算定委員では、ドイツの補助金カットスペインがFIT制度を凍結したことなども取り上げられていました。その中で議事録を見てみると、委員の方からこんな発言が。

調達価格等算定委員会(第1回)‐議事要旨
委員
 ドイツが全量買取制度を廃止したという報道があったが誤りである。太陽光のみを対象とした部分的な修正というべきもの。

調達価格等算定委員会(第3回)‐議事要旨
委員
 制度として、負担をしながら利益を生じる仕組みにする必要性がある。コストカットは色々なやり方がある。コスト低減の取組を産業界でも行っていただきたい。ドイツの例は失敗ではない。むしろ成功して予想外に導入が進んだので、価格を下げただけである。

ヒアリング対象者
 ドイツについては委員ご指摘のような評価があることも十分承知している。ただ、そうでない見解も含め、様々な見方があるということを委員にもご認識いただきたい

どうやらこの委員は日本環境学会会長の和田武さんのようです。エコ至上主義というか、環境原理主義的な主張をされており、火力も原子力もいらない、全部自然エネルギーにしろ、という過激なご意見をお持ちです。
日本環境学会声明 「鳩山首相の『2020年に90年比25%削減』国連演説を歓迎する」

ご自分の研究分野(あるいはビジネス)について、多少甘い見方になってしまうのは仕方の無いことかもしれません。

しかし、ドイツはじめヨーロッパ各国のFIT制度は、再生可能エネルギーの普及、コストも低下、雇用も増加する、等等いろんな効果をうたっていたはずですが。電気代の上昇など背負いこんだ負担の重さ、太陽光関連の会社がバタバタ倒産する惨状について、十分に検証した上で”成功”だと言っているのかどうか。

補助金が大量につぎ込まれる以上は、とにかく導入量さえ増えれば"成功"なんだ、という話では済まない。本当に「成功して価格を下げただけ」ならば、ドイツ太陽光業界や緑の党などが”脱太陽光法だ”などと抗議するはずもない。
ドイツのソーラー発電業界に太陽はまだ輝くのだろうか?(google翻訳)

本来10点満点のところ5点しか取れていなくても、5点は四捨五入すれば10点だから”成功”だ、ということなのでしょうか。うまくいってる部分の5点はいいとして、残り5点の失点の原因とかその対象方法を考えないと、日本も同じ轍を踏んでしまう、ということになります。

10点満点とはいかないまでも、せめて8点くらいは取って欲しいものです。持続可能なエネルギーが、社会的・経済的に持続不可能では笑い話にもなりません。
シャープ、新日鉄系企業との合弁企業を解散へ 太陽電池の原料製造



ドイツ太陽光発電市場現地調査報告 [PDF]
―“国家政策原理”が生み出す“新・市場原理”―

Point
1 ドイツをはじめとした欧州の太陽光発電市場は、いまや年間設置量で日本に大きく水をあけて圧倒的成長をみせているが、それを誘導するのは「技術」でも「市場原理」でもなく、大胆な国家政策=フィードインタリフ(FIT)制度に他ならない

2 太陽光発電に「有利な投資商品」としての性格を付与し、大量の投資資金を集めて市場を拡大させるFIT 制度は、太陽電池市場拡大施策の切り札とみなされ、欧州中心に導入国が急増している。

3 一方、これまでの太陽光発電助成策を打ち切った日本の市場はむしろ縮小傾向。導入補助は来年度にも再開される見通しだが、従来の「イニシャルコスト助成型」制度ではフィードインタリフほどの効果は期待薄。

4 しかし、投資需要が中心を占めるFIT 制度は、経済環境・投資マインドの変化による影響も考えられる。日本のように住宅所有者による屋根設置型の需要は極めて“健全な”市場とも言える

5 欧州では市場の成長性を保ちつつ、需要の健全性を高める動きが既に見られている。わが国は需要の健全性を保ちつつ、市場成長を促進する施策を投入できるかがカギ。




新設の大規模発電所では補助金ゼロに

 一連の段階的引き下げの後、メルケル政権は新設の小規模発電所に対する補助金を約3分の1引き下げ13.50~19.50ユーロセント/kWhにすることと、18ユーロセント/kWhの補助金を受けている新設の大規模発電所に対する補助金を完全に廃止することを計画している。比較材料を挙げると、大口電力利用者は約14ユーロセント/kWh支払っている。

 今回の決定は、22年までに原子力発電所を段階的に廃止し再生可能エネルギーで代替する意向の政府にとって間が悪いように思える。だが、相次ぐ太陽光発電所の建設が引き金となって電力価格が上昇し、再生可能エネルギーへの国民の支持を失いかねない懸念から、メルケル政権のレトゲン環境相も補助金引き下げを支持している。というのも、フィーノー・タワーが今後20年間で電力1kWhあたりに受ける補助金は、電力利用者が支払う再生可能エネルギー促進付加金によって賄われるためだ。発電容量が増えるほど、買わなければならない太陽光発電が増え、利用者が支払わなければならない金額も増える。

予想超える太陽光の伸びに歯止め

 11年には、ソーラーハイブリッドのような企業と多くの自宅所有者が7500メガワットの太陽光発電を供給したが、これは政府予想の2倍にあたる。その結果、再生可能エネルギー促進付加金は70%増の3.5ユーロセント/kWhに跳ね上がり、ドイツの電力料金は欧州で最も高くなった。補助金のうち約80億ユーロが太陽光発電業者に回り、風力発電など他5種類の再生可能エネルギー関連には60億ユーロしか回らなかった。

 独政府は、太陽光発電に対する優遇措置をやめることで電力価格の上昇に歯止めがかかると期待している。政府は議会に対し、太陽光発電が年間2500~3500メガワットを超えて増加した場合さらに補助金を引き下げる権限を付与するよう要請した。

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タグ : 再生可能エネルギー 太陽光発電 ドイツ 

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