スポンサーサイト



上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事をブックマーク

利益はいらない!! はずの孫さんがメガソーラー20年間40円の買取を要求



「利益は1円もいらない!」→「40円なら断念せざるをえない」

自然エネルギービジネスに熱心で、たしか「利益は1円もいらない!」なんてカッコイイことを言っていたような気がするソフトバンクの孫正義さん。

でしたが、経済産業省に対して「20年間40円の買取条件では、予定している250箇所のうち200箇所が採算割れになる」、と主張していました。経営者としては当然ですが、やっぱり利益をきっちり計算していたようです。
自然エネ協議会、再生エネ全量買い取りで政府に提言

ただ本当にソフトバンクエナジーのメガソーラーが40円で赤字になるのかどうか怪しい部分もあります。少しでも多く補助金を引き出すための駆け引きか、「儲け過ぎ」という批判を避けるための予防線なのかもしれません。

そして元の発言「利益は1円もいらない!」も、よくよく聞いてみると利益がいらない=赤字でもやる、という意味ではなかった。正確には、儲けた分は自然エネルギーに再投資して、さらにビジネスを拡大します、と言ってるだけでした。
孫社長「利益は1円もいらない!」と激高 堀代表は「政商」発言撤回


なぜかソフトバンクのメガソーラーは他社よりお高くなっている

同じ日に太陽光発電協会が出した要望書では、1kwhあたり42円で期間は20年の固定買取、という条件を求めています。この要望書を見てみると、20年間42円の固定買取で、内部収益率(IRR)が6%だとしています。そして41円でも5.5%の内部収益率とのこと。
調達価格等算定委員会(第3回)‐配付資料

委員
IRR6%でということだが、例えば41円にするとIRR何%になるのか?

ヒアリング対象者(太陽光発電業協会)
正確な数字は手元にないが、確か4.7~4.8%程度と、比較的数字が変わったように記憶している。(委員会終了後に確認したところ、正確には5.5%とのことであった。)

これだと孫さんの「40円ではほとんどが採算割れ」、という主張とは計算が合わないように思えます。41円でIRR5.5%が、40円でいきなり0以下にはならないはず。

試しにエクセルのIRR関数を使って、太陽光協会の数値を元に適当に計算してみると、40円でも5%くらいは利益が確保できる結果になりました。そして採算割れ(IRR0%以下)になる価格がいくらかとシミュレートしてみると、30円くらいでした。
(大雑把な計算しかしてないので誤差も大きく、あくまで目安)


素人経営のSBメガソーラーは効率が悪く高コスト?

40円で20年間の固定買取でも赤字になる理由としては、SBエナジーのメガソーラーはよほど効率が悪く、太陽光協会に比べても高コストだ、ということが考えられます。

孫さんは太陽光発電事業に関しては素人同然でしょうから、効率的に運営するためのノウハウがない可能性があります。通信事業の方でも、未だに素人のようなことをやっているようですが。
拝啓ソフトバンク様今すぐ無用なWiFiAP設置を止め密集AP間引きをしてください敬具

試しに、建設費など初期費用が太陽光協会の1.5倍以上かかっている、という条件にしてみると、SBエナジーのメガソーラーを40円でもIRR0%以下にすることができました。

SBエナジーは高級なソーラーパネルを使ってるとか、土地代がものすごく高いとか、土地がガタガタで造成費用が余分にかかる、ということかもしれません。

またはSBエナジーでは毎年のメンテナンス費用が他社の2倍以上かかる、という条件でやっても採算割れになるでしょう。あるいは北国など日照の少ない地域でやっていると発電効率が悪くなり、20%~30%ほどコスト高になることもあります。

内閣府のコスト検証委員会のモデルプラント(2010年)試算を見ても、メガソーラーは30.1円-45.8円で最大1.5倍と大きく幅があります。SBエナジーのメガソーラーも40円以上かかる高コスト体質である可能性は十分にあります。
資料4 再生可能エネルギーの発電コスト試算について[PDF]


まあ、本当は孫さんのところも40円で利益が出るのに、もっと多くの補助金を引き出そうとして、「これでは採算割れだから断念するぞ」、と水増し請求して脅しをかけているだけかもしれません。

とはいえ、あまり人を嘘つき呼ばわりするのも失礼なので、SBエナジーはものすごく高コストで本当に赤字になる、という前提にしておきます。


太陽光の買取価格は安すぎても困る事はない

買取価格を高くしすぎると、SBエナジーのように効率が悪く比較的高コストな業者でも利益を得られることになります。そうして高コストな業者がどんどん参入してしまうと、あっという間に大量の補助金が必要になり、国民の負担が増えます。

できるだけ効率よくがんばってくれる事業者を優先するためにも、価格は低く抑えた方がいいでしょう。

「安すぎれば普及しない」と言われますが、もし安すぎて導入量が少なすぎるとなったら、次の年にちょっとづつ価格を引き上げるなど修正すればいいだけです。設置が手軽な太陽光は、安すぎて普及が1年や2年遅れたところで悪影響はほとんどありません。

むしろ高すぎたヨーロッパ各国のように、補助金を浪費して負担が増えすぎた方が問題が大きくなります。最初は高い価格で、後から急激な制度変更をすると関連業界に大量の失業者が出たり、膨大な駆け込み需要が発生するなどの混乱が生じます。

自然エネルギーへの投資が増えるのは、とにかく良い事だと言われます。しかFITの場合は、補助金に支えられた制度なので、投資が集まるほど多くの補助金が必要になり、電気代が上がって国民の負担も増えてしまいます

特に太陽光発電は投資商品としても側面が強いので、買取条件の設定には注意が必要です。ヨーロッパでは年金代わりに投資するとか、農家が小遣い稼ぎのためにソーラーパネルを設置するような状態もありました。


ヨーロッパ各国のメガソーラーの買取価格は20円以下

同じく算定委員会で出された資料から、ドイツやイタリアのフィードインタリフ(FIT)の価格表を見てみます。出力や設置場所で買取条件は違いますが、メガソーラー(1000キロワット以上)はどこも20円以下。
調達価格等算定委員会(第1回)‐配付資料

2012年1月時点のドイツフィードインタリフ価格表ItaryFIT.jpg


ドイツではさらに、4月から太陽光発電に関して買取価格を30%引き下げる予定です。10kw以下が19.5ユーロセント、10kw-1000kwの間のも のは 16.5ユーロ、1000kw-10000kまでは13.5ユーロセント。そして1万kw以上はFITから除外、という具合。
【ドイツ】政府、太陽光発電への助成を大幅削減 (NNA)

ドイツのメガソーラー価格は、日本円でだいたい15円というところ。イギリスでは250kw-5000kwは8.5ペンスで、およそ11円という安い買取価格。
New Feed-in Tariff levels for large-scale solar

国による日照条件や産業基盤の違いでコストに多少の差はあるでしょうが、「ヨーロッパを見習って」メガソーラーは20円以下でもいいでしょう。


日本のメガソーラー買取価格の目安

日本の場合は住宅用は余剰電力のみ買い取る制度になる予定です。もし住宅用も全量買取にする場合、太陽光協会の試算では27円だとしています。これも一つの目安。

委員
住宅用は余剰が良いとのことだが、ドイツでは自家消費分についてもプレミアム価格を上乗せしており、日本とは制度が違う。もし住宅用を全量にしたらいくらぐらいが適当かという試算はあるか?全量にした方が公平とも思うが、いかがか?

ヒアリング対象者(太陽光発電業協会)
試算値としては27円程度となる。アンケート結果にもあるように、余剰買取であれば家庭内での節電意識が大きく働くことになり、余剰が良いと考える。もし居住者が全量を希望するのであれば屋根貸制度を活用するという選択肢もある。

メガソーラーは全量買取で42円と要望している太陽光協会が、住宅用の全量買取なら27円だと試算するのも、不思議な計算ではありますが。

メガソーラーは大規模化することで効率化、低コスト化するのが普通。海外の例を見ても、メガソーラー買取価格は住宅用より安く設定されていました。

あくまで業界団体の主張する数値なので、この42円はかなり高めに言っているのだろうとは思いますが。もし本当にメガソーラーと住宅用が同じくらいだったり、逆にコストが高いなら、メガソーラーの固定買取をする意味はありません。ただの投機にされるだけ。

太陽光協会の数値も過去のデータを元にしているようなので、最近の太陽電池モジュールの値下がりを反映していない可能性があります。現在ではもっと安くなっているでしょう。


またヨーロッパの場合では、ソーラーパネルの暴落にFIT価格の変更が追いつかず、IRR6%や7%のはずが実際には10%以上の利益が得られる事態がたびたび発生していたようです。だからこそ、目標をはるかに超える導入量で負担が増えてしまったわけですが。

そこでドイツなどでは1ヵ月毎という短い期間で価格を引き下げていくことになりました。また太陽光の年間導入量や、補助金の枠に上限を設定する国も増えています。日本でも細かく価格を変えていくとか、導入量に上限をつけるなど工夫する必要があるでしょう。


脱原発を口実に太陽光を売り込む孫さん

太陽光発電はお天気次第なので、日ごとに発電量が大きく変化する性質があります。
データで見るメガソーラー|浮島太陽光発電所
浮島太陽光発電所 2012年3月21日の発電量浮島太陽光発電所 2012年3月17日の発電量

3月21日は天気がいいおかげで発電量も多く、グラフも比較的キレイな曲線になっています。しかし3月17日のグラフを見てみると、雨だったせいか全く発電できず。21日に比べると、17日の発電電力量はわずか30分の1に。

これだけ変化が大きいと、安定的な電力供給源としては期待できません。雨や曇りの日に備えて、常にバックアップ用の発電所が必要になります。また冬場は日照量が減り、夏場にはパネルの温度上昇で発電効率が落ちる、という特徴もあります。

浮島太陽光発電所 2012年3月19日の発電量浮島太陽光発電所 2012年3月22日の発電量

さらに3月19日の発電グラフを見ると、午前中は調子がよかったものの、午後からは発電量が急激に減少。3月22日は一日中発電量が不安定で、グラフの形もギザギザに。

こうした細かい発電量の変動を補うためには、火力発電所の出力を上げたり下げたりして調整することになります。この場合は自動車で急ブレーキや急加速を繰り返すことと同じで、通常の発電時より燃費が悪くなり、余分に燃料を消費します。

そしてさらに太陽光が大量に増えすぎた場合には、出力の制御が間に合わない可能性が出てきます。そうなると電圧・周波数の変動や停電などが起きることになります。

電 気を使う側でも、急激に消費電力が増えたり減ったりする場合はあります。また他の発電所・変電所のトラブルが起きる可能性も常にあります。ここに不安定な 電源 が増えると、さらに予測とコントロールが難しくなります。ドイツでは風力発電などの影響もあって緊急調整の回数が5年で10倍以上と大幅に増えていました。


孫さんやそのお友達は、脱原発のために太陽光なんだと言うわけですが、太陽光発電の性質を考えるとあまりにも荒唐無稽な話です。太陽光発電を売り込むためのセールストークなのでしょう。

ドイツも脱原発を目指すとしてますが、太陽光の買取は引き下げて買取量も制限する方針です。もちろん燃料節約やCO2削減などの効果はありますが、他の自然エネルギーや省エネ技術に比べて効率的かどうか、という比較も必要です。


孫さんと愉快な仲間達が太陽光にこだわる理由

自然エネルギーには風力・水力・地熱・バイオマスなど色々ありますが、なぜか孫さんは太陽光発電に特別なこだわりがあるようです。といっても、太陽光はコスト的にも性質的にも、それほど優れているわけではありません。

しかし投資対象として見ると、最も優れた自然エネルギーです。太陽光発電は環境アセスメント等が不要で、数ヶ月~1年以内で始められる唯一の自然エネルギービジネスだからです。

SBエナジー株式会社 事業概要
SBエナジーでは、完成までの工期が比較的短期間で可能な太陽光発電所の建設を全国に複数拠点、合計200MW以上の規模で具体的な建設計画の検討を開始しております。

太陽光の高コストという問題もありますが、固定買取制度ではコストに合わせた高い買取価格になります。よってほぼ確実に元を取り、利益を得ることができます。

また太陽光は発電量がお天気任せですが、現在の制度では太陽光発電の事業者に安定供給の義務はありません。そのため発電事業者はバックアップ発電や蓄電池を持つ必要もなく、余分なコストは負担しなくてすみます。その分は最終的には電力消費者の負担になります。

実際に、孫さんは国にお金出させて送電網の整備をさせようとしていました。最近は枝野さんも乗り気なようで、送電線の増設に政府が補助金を出す予定です。こうなると電気代だけでなく税金が投入されることになり、国民負担はさらに増えます。
風力発電:経産相が送電網の整備、強化支援方針を表明


環境保護団体や地方自治体も賛成しやすい

水力発電は日本でも普及していますが、ダムは環境破壊の代名詞のように嫌われています。地熱発電は温泉地と競合する場合が多く、国立公園などでは景観への影響もあります。風力発電はバードストライクで天然記念物の鳥が死ぬ、などの問題が起きています。
オジロワシ風車衝突28羽 00~11年度累計 事故原因で最多

昨年は小金井市のごみ問題がありましたが、ごみ発電やバイオマス発電はダイオキシンが出るとして嫌われています。遠くの人間にとってはクリーンなエネルギー も、近くに住む人からすれば立派な迷惑施設になってしまいます。そのため環境保護団体や地元自治体などにとっては、賛成しづらい事情があります。

そこで誰からも反対の出にくい妥協の産物が、太陽光発電という答えです。そのかわり太陽光はコストが高く、また発電量が不安定で電源としてはあまり期待できませんが。

投資対象としての有利さもあって、たとえばドイツではグリーンエナジーサーチャージ(国民が負担する電気代の上乗せ分)のうち、半分以上が太陽光に使われているという状態です。しかし太陽光発電(黄色)の発電量は、自然エネルギーの中でもごくわずか。

GermanyGreenEnergy.jpg


効率改善より補助金獲得を優先する人たち

なぜか40円でも赤字になってしまうほど高コストなソフトバンクのメガソーラー。しかし孫さんは自社のコスト改善の工夫を考えるよりも、有利な買取条件を引き出すための政府・政治家への火事場泥棒ロビー活動に熱心です。
固定買取価格決定委員の山地憲治が、孫正義の自然エネルギー財団に飯田哲也と共に所属している話。

本気で太陽光発電を普及させるつもりなら、効率化でコストを下げるとか、蓄電技術の開発で安定供給できるようにする必要があります。経済的に成り立つものにならなければ、いつまで経っても補助金頼みのままです。

ドイツの太陽光発電業界は2~3%しか研究開発に使っていなかったという報告もあり、つぎ込まれた補助金は技術開発にはあまり役立ちませんでした。コスト低下の要因は、主に中国など新興国メーカーの台頭、そして補助金カット後の各メーカー赤字覚悟の叩き売りでした。
ドイツの教訓に学ぶ~太陽光発電バブルの理想と現実~

「利益は1円もいらない」と言うくらいですら、どうせなら孫さんの個人資産をすべて太陽光発電や蓄電技術の研究開発に寄付する、なんてのはどうでしょうか。

関連記事
このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事をブックマーク


タグ : 再生可能エネルギー 太陽光発電 孫正義 

最新記事
北海道の太陽光発電は、電力消費ピーク時間に発電量が0になる厄介者 user

FIT開始8ヶ月で、太陽光発電に7兆円の補助金が必要になったかもしれない user

北海道電力のメガソーラー受け入れ枠は競争入札で決めればよかった user

外国製メガソーラーにWTOのお墨付き、もう太陽光発電は住宅用だけでいい user

農業セクターへの助成総額を2倍に増やしたアメリカ、2/3に減らした日本 user

「攻めの農業」とは、補助金ジャブジャブにして安売り攻勢をしかけること user

聖教新聞を非課税にしようとがんばる公明党 -消費税の軽減税率導入論- user

過去の記事一覧
AD
FC2ブログ内検索
カテゴリから記事を探す
キーワードタグから記事を探す
RSSリンクの表示
リンク・転載・引用などはご自由にどうぞ
QR

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。