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再生可能エネルギーに生じる不公平さと格差の問題



数ある再生可能エネルギーの中で太陽光発電だけバブルが起きた理由 の続き

太陽光に有利すぎて、相対的に他の発電は魅力が薄い

水力や地熱やバイオマスは比較的安定して発電できる利点がある。しかしこれらは周辺環境への影響が大きいので、地元自治体や周辺住人との調整など、手間も時間もかかってしまう。反対運動でプロジェクトが中止に追い込まれる場合もありうる。

それだけの手間をかけても、事業者や投資家にとっては発電量が安定している点はメリットにならない。固定買取制度(フィードインタリフ:FIT)では安定供給の義務がないから、安定していようが不安定だろうが、発電事業者にとっては関係ない。

また風力発電は不安定であるものの、自然エネルギーの中では比較的コストが安いメリットがある。しかしFIT制度では発電コストに合わせた買取価格が設定されるため、風力は安い買取価格になり、太陽光は高い買取価格になる。そのため事業者にとっては、低コストな風力も高コストな太陽光も、同じように利益を得られることになってしまう。

それならパネルを買ってきて置くだけの太陽光を選ぶ方が、ビジネス上のリスクは小さい。全量買取制度では不安定でもコストが高くても関係なく利益を得ることができるから、ビジネスとしては正しい判断だといえる。

本来なら安定供給できる電源(あるいは、低コストな電源)が投資家にとってもメリットになるような制度にして、安定電源に投資が向かうように仕向ける工夫が必要だが、そうはなっていない。

ドイツの例では、グリーン電力への補助金の56%が太陽光発電に使われた。予算の半分以上を使っている太陽光発電だが、発電量で見るとグリーン電力のうちの21%だけ。ドイツ全体の発電量のうち3%の割合でしかない。風力・水力・バイオマスは、太陽光より少ない補助金で、太陽光より多くの電力を供給している。
ドイツの教訓に学ぶ~太陽光発電バブルの理想と現実~
GermanyGreenEnergy.jpg

それも太陽光の場合は安定して3%の電気を生み出し続けるとか、必要な時に必要な分の電力を供給できる、というわけでもない。たまたまお日さまがあたっている時は余るほど大量の電気を生み出す一方で、寒いドイツで電力が必要な冬場には日照量が少なく発電量は落ちる。


太陽電池の暴落でメーカーは大赤字だが投資家には利益

ヨーロッパ各国は過剰な太陽光発電への投資を減らそうとして、固定買取価格を引き下げた。しかし、太陽光発電への投資は減らず、代わりにソーラーパネルの価格が1年で46%も暴落した。

パネルメーカーと投資家の置かれた立場、そして交渉力には違いがある。投資家には”太陽光発電以外に投資する”という選択肢がある。もっと有利な金融商品などに投資したり、貯金しておけばいい。

しかしパネルメーカーの場合、太陽電池パネルを在庫として持っているだけでは資金繰りに行き詰ってしまう。従業員の給料を払ったり、工場の建設費用を返済したりしないといけない。たとえ赤字になってもパネルを売って、なんとしても現金に換える必要がある。

投資家には交渉のテーブルから立ち去る選択肢があるが、パネルメーカーにはその選択肢がない。そうなると、安いFIT価格でも事業者・投資家が利益を出せる値段までパネルを安くして、買ってもらうしかない。


買取価格をいくら引き下げても、導入量をコントロールできない

その結果、太陽電池モジュール価格がわずか1年で46%も下落する事態になった。倒産するメーカーが続出し、生き残っている企業もリストラを迫られる。日本でもSUMUCOが太陽電池ウエハーから撤退し、中国メーカーですら赤字を出す始末だった。
ドイツ、太陽光発電関連企業2社、相次ぎ倒産

その一方で、投資家はパネルの値下がりで引き続き利益を得られた。結果的にFITの引き下げはソーラーパネルメーカーを壊滅させただけで、太陽光発電の導入量そのものは減らせなかった。ドイツの場合では2011年トータルで7.5ギガワット、昨年12月の駆け込み需要分だけで3ギガワットにもなった。
ドイツの太陽光発電ブームで補助金への批判が強まる(google翻訳)

たった1年で180億ユーロ(1兆8500億円)の補助金がつぎ込まれることになり、今後20年間の分割払いで消費者の電気代から支払われていく。
太陽光はドイツの環境政策の歴史で最も高価な誤り?

太陽光発電だけで再生可能エネルギー補助金の予算の半分以上を食いつぶしてしまった。すでにグリーン電力サーチャージは当初の上限だった3.5ユーロセントを突破して、3.59ユーロセントになっている。これは電気代の13.5%で、このままだと再生可能エネルギー普及の目標を引き下げて予算を減らすか、消費者にさらなる負担を求めることになる。

ヨーロッパ各国はFITの引き下げだけでは導入量を減らせないと気付いて、ドイツやイギリスでは導入量の上限設定など直接的な方法が提案されている。すでにイタリアでは昨年から導入量に上限をつけていて、その上限を突破したために2012年後半分の補助金を停止。フランスも年間の導入量を制限し、スペインに至ってはFIT制度を凍結している。


リストラを迫られる太陽電池メーカー

太陽電池モジュールのメーカーより、孫正義さんや飯田哲也さんのような太陽光発電を設置する事業者・投資家の立場にいる人の方がFITの導入を推していた。

メーカーも太陽電池が売れるのは嬉しいはずだが、しかし同時にパネル製造のために大量の電気を使う企業でもある。電気代が上がったり、電力が不安定化して停電などの被害を最も大きく受けるのも、やはり製造業になる。
シャープ会長「国内生産不可能に」 電力不足懸念で

そのシャープもソーラーパネル価格の暴落で太陽電池事業が大赤字に。もうパネルを売っているだけでは儲からないので、自らメガソーラーを建設して、補助金を得られる発電事業の方に乗り出している。
シャープ、大阪府でメガソーラー計画が決定

ドイツでは電力価格の上昇や安定供給への不安から、企業の15%はすでに海外に移転したか、あるいは今後移転を検討している、というアンケート結果が出ていた。
ドイツ商工会議所が行ったアンケート:「明日のエネルギーと資源」 [PDF]

すでにソーラーパネルメーカー自体がリストラを実行し、Qセルズがドイツ国内からマレーシアに工場を移転する、という皮肉な事態も起きている。
ピックアップ@アジア 「中国企業が席けん/世界の太陽電池市場」

補助金削減で需要が減って、太陽電池メーカーは過当競争状態にある。さらに新興国の安い人件費にも対抗しないといけない。すでに倒産する企業も出ているが、リストラ・海外移転なしには生き残るのが厳しい状態にある。
ドイツの太陽光発電設備メーカ倒産相次ぐ[PDF]


補助金カットで雇用が失われるソーラー発電業界

ドイツ政府は今後、太陽光発電の導入量を半分以下に押さえ込む方針でいる。単純に考えれば、太陽光関連の雇用も半分以上が失われてしまうことになる。ドイツ太陽光発電の業界団体などロビー活動家は、12万人の雇用が脅かされる、などと抗議している。

しかし、そもそも最大の目標は再生可能エネルギーを普及させることだったはず。FIT導入の際には雇用が増えることも売りにしていたが、関連産業の雇用はあくまで副次的な、オマケのようなもの。

たしかに雇用も大事だが、雇用を守るために補助金を配り続けろ(電気代を値上げしろ)、というのは本末転倒な話。どちらにしても、いつまでも補助金に頼っているような雇用では長続きはしない。

雇用を考える上では、需要が一定のペースで発生し続ける形がベストだった。しかし太陽光業界自身も含めた政治的な駆け引きもあって、買取価格や導入量をうまくコントロールできなかった。ソーラーバブルで膨らみすぎた需要と雇用は、いつかはしぼんでしまうのは避けられない。

また電気代が上がった分だけ経済へのマイナスの影響があり、そのせいで失われた雇用もある。太陽光業界の主張している12万人という数字も、差し引いて考える必要がある。


再生可能エネルギーの利権は12倍らしい

再生可能エネルギー関係の雇用は原子力の12倍だとか、石炭の5倍だとか宣伝している環境原理主義団体や業界のロビイストがいる。裏を返せばそれほど多くの人手が必要で効率が悪い産業ということだし、環境利権の方が5倍も10倍も大きいと言っているのと同じことだ。

そもそもこの37万人という数字は、電気代の上昇など経済へのマイナス分を差し引く前の数字。実際にドイツ政府が試算している純粋な増加数は最大でも5万人ほど。

再生可能エネルギーに頼れない理由 これからのエネルギーを考える
 ドイツ環境省は再生可能エネルギー関連産業において20年には40万人の雇用が創出されるとしているが、その一方電力価格の上昇などにより失われる雇用も大きく、雇用の純増は5万6000人に留まると発表している。しかもこれは輸出振興策を前提とした数字だ。

そしてこの雇用は、補助金を削られるとあっという間に消滅してしまうような弱い雇用でしかない。だからこそ、業界団体は補助金の引き下げに猛烈に反発している。脱原発は簡単に決めたドイツだが、脱太陽光(補助金カット)はなかなか進まない。
【ドイツ】ソーラーワールド、反原発キャンペーン展開/NNA.EU

太陽光関連だけで12万人の雇用者がいて、また太陽光発電への投資で利益を得ている人もいる。そこに支払われる補助金は相当の額だし、その家族まで含めると選挙で動く票もかなりの数になる。ドイツの政権与党内でも、地元の票を気にして補助金削減に反対する政治家もいる。

緑の党など、環境意識で票を集めている政党や政治家にとっても死活問題なので、反対するしかない。選挙の票とお金が動く、立派な利権構造ができあがっている。

テレビなどでも大真面目な顔をして「利権」を語る人がいるが、そういう人に限ってきっちり環境利権を握っていたりする。飯田哲也さんはおひさまエネルギーファンドの共同代表取締役であり、自分が運営するNPO法人ISEPにもおひさまファンドの株を持たせている。

その他にも、政治家は有権者のエコ意識につけ込んで人気と票を集めることができる。そして補助金のツケはすべて国民が払う電気代に上乗せされる。

もちろん、お金が動く以上は利権が生まれてしまうのは避けられないことではある。「利権」という視点だけでエネルギー問題を見ていると本質から外れてしまうので、本来はこうした議論はすべきではない。

もっとも彼らの目的は、本質的な問題から目をそらし、論点をすりかえて世論の方向を誘導することにあるのだろうけれど。

本来の問題の中心はいかに安定的にエネルギー資源を確保するかという1点で、あとは二の次三の次。そのために役立つなら、太陽光もどんどん増やせばいい。不安定な発電量とコストの問題を考えると、他の自然エネルギーに比べてもあまり効率的だとは言えないが。


フィードインタリフは低所得者の生活を苦しくする

太陽光発電のフィードインタリフは、貧しい人からお金持ちへの所得移転だという指摘がある。
ドイツのソーラー発電業界に太陽はまだ輝くのだろうか? BBC news(google翻訳)

一般的に高所得者ほどパネルを設置できる一戸建てなどに住んでいて、ソーラーパネルを買うだけの資金的な余裕もある。ソーラーパネルを設置した高所得者は、余った電気を高く売る形で補助金をもらえる。

一方で低所得者は賃貸アパート暮らしだったり、お金の余裕もないので、ソーラーパネルを設置できない。しかしFITの補助金負担は、電気代への上乗せという形ですべての人にかかってくる。

ドイツの場合、電気代の上乗せだけでも年80ユーロ~200ユーロの負担増になる。そうして電気代として支払ったお金は、ソーラーパネルを設置している高所得者への補助金として配られる。

さらに風力や太陽光には安定供給のための追加コストも必要だが、パネルを設置した人は安定供給のコストを負担していない。その費用は、低所得者も含めて電気代へ上乗せされる。再生可能エネルギーが増えれば増えるほど、低所得者→高所得者への所得移転が大きくなり、貧富の差を拡大させる。

またFITによって安定した利回りの約束される太陽光は、投資商品としての側面を持っている。日本にもエコファンドと称した金融商品なども開発されている。FITの補助金から利益を得られるのは、おひさまファンドなどに出資するだけのお金の余裕がある人だけだ。
再生可能エネルギーが格差を拡大


すでに欧州各国では太陽光発電の補助金引き下げに動いている。ユーロ圏では財政危機による経済の混乱もあって、電気代の上昇に対する不満が高まっていることもあるのかもしれない。景気が良い時期はいいが、景気が悪くなると格差の問題も一気に表面化する。
【英国】失業率、8.4%に悪化:若年層は過去最悪を更新[労働]

FITを凍結しているスペインでは5人に1人は仕事がないという状況だった。スペイン国民には、高い電気代を負担している余裕すらない。
スペイン10~12月失業率22.9%-15年ぶり高水準でラホイ政権に圧力

日本の再生可能可能エネルギー法では、被災者の負担分に配慮して免除することになっている。しかし低所得者向けの配慮、もしくは太陽光などの投資家にも何らかの形で負担をしてもらう方法は、まだ考えられていない。

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タグ : 再生可能エネルギー 太陽光発電 風力発電 ドイツ イギリス 

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