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数ある再生可能エネルギーの中で太陽光発電だけバブルが起きた理由



発電源としては脇役の太陽光発電がバブルの主役に

太陽光発電はお日様任せという発電の仕組み上、発電量が安定しない。発電効率も低いために高コストになりがちで、エネルギー源としてみると脇役にしかなれない。

昼間も雲がかかれば半分になり、雨が降れば発電量は10%以下まで落ちる。夜になって日が落ちると完全に止まる。地域にもよるが、平均稼働率は10%前後といったところ。

浮島太陽光発電所 2012年3月19日の発電量浮島太陽光発電所 2012年3月17日の発電量


また夏に気温が上がると太陽光発電は効率が落ちてしまう。パネルの温度が上がると電気抵抗が上がってしまうため。

そのため太陽光が一番発電するのは春ごろになる。しかし春は気候がいいのでエアコンも必要なく、電気は余り気味。そして肝心の夏場や冬場の電力消費のピークには発電量が落ちる。

たとえば水力発電、地熱発電、バイオマス発電などは発電量が安定していたり、コントロール可能だったりする。風力発電は不安定であるものの、再生可能エネルギーの中では比較的コストが安い。

他の再生可能エネルギーに比べてもそれほど優れた発電方法とは言えない太陽光発電が、なぜか太陽光バブルでは主役になっている。


手軽に設置(投資)できるソーラー発電

太陽光発電の最大の特長は、誰でも設置が簡単だというところにある。家庭用のソーラーパネルも普及しているが、住宅とか工場の屋根なども有効に使える。この点は他の再生可能エネルギーでは真似ができない。

その手軽さが逆にバブルを誘発する原因にもなった。スピードと利益が優先されるビジネスの世界では、設置が簡単な点は大きなメリットになる。それだけに全く縁のない業種からの参入が相次ぎ、ついには農家までもが補助金目当てに大量のソーラーパネルを設置する事態が起きた。

風力発電の場合は低周波騒音、野鳥が巻き込まれて死ぬ(バードストライク)等の問題があるので、事前に周囲の環境への影響を調査する必要がある。

周囲に何もない海上に風車を持って行く洋上風力も考えられているが、今度は漁業補償の問題が出たりして簡単には進まない。また送電用に長距離の海底ケーブルなどが必要で、陸上に比べるとコストが高くなる。ドイツのFITでは陸上風力の1.7倍程度の買取価格になっている。
風力発電:福島県沖に建設計画 漁業の妨げに

地熱などでは温泉地と競合する場所が多い。国定公園にも熱源が多いが、景観の問題もあって反対運動も起きている。井戸を掘ったり専門的なノウハウも必要になる。
地熱発電に「待った」

しかし太陽光発電にはそうした心配はない。一般家庭でも設置できるほど手軽だし、メガソーラーなど大規模化したものでも半年もあれば発電を始められる。

他の発電方法ではこんなハイスピードでは絶対にできない。昨年は震災で電力が不足したために、東北電力と東京電力では特例で火力発電所の環境アセスメントが免除された。しかし通常ならば環境アセスだけでも3年ほどかかるという。
火力発電所増設へ環境アセス免除方針 政府、東電に

資金さえ確保できればいくらでも設置できるので、ヨーロッパ各国の太陽光バブルにつながった。日本でも再生可能エネルギー法の施行にあわせて投資商品まで開発されている。金あまりと低金利の現在なら、必要な投資資金はいくらでも調達できるだろう。
マーチャント・バンカーズ、「太陽光」で投資商品


買取価格が高い一方で、安定供給についての義務はない

太陽光発電はコストが高めだが、その高いコストにあわせた買取価格になるので確実に利益は出せる。また風力や太陽光には発電量が不安定だという欠点もあるが、FIT制度では事業者・投資家は安定供給の義務を負っていない。

晴れていて電気を調子よく作れる時は、いくらでも高い価格で買い取ってもらえる。なにしろ全量買取だから、たとえ国内で電気が余っていたとしても売れ残る心配がない。他の火力発電所の出力を無理やり落としてでも、太陽光発電の電力は全て買い取らないといけない。

逆に発電が止まっても、再生可能エネルギーの事業者には足りない分を供給する義務はない。何もしないで他の発電会社の発電所に任せておくだけでいい。

細かい出力変動に対応するためには送電網の整備や、火力発電の調整運転のための燃料費の増加などのコストがかかる。しかし現在の制度では、太陽光発電の事業者や投資家はこれらの安定化コストを負担せずにすむ。
系統安定化対策コストを考慮した 日本における太陽光発電コスト見通し

再生可能エネルギー固定買取費用そのものの負担と、安定化・バックアップ費用で、電力の消費者は二重に負担させられることになる。不安定化で停電などの事態が起きたときに困るのも電力消費者なので、停電確率の上昇という形の負担も考えると三重に。
東芝の工場が瞬間停電で操業停止、NAND出荷量最大2割減も

もともと再生可能エネルギーの固定買取制度は、有利な条件を設定して投資を集め、普及させることが目的の制度だった。しかしその条件が、太陽光の投資家にとってあまりにも”有利すぎる”制度だったため、予想以上のハイペースで導入量が増えてしまった。
ドイツ太陽光発電市場現地調査報告[PDF]


出力制御の費用負担と対策

風力発電や太陽光発電などの場合、発電量の変動が大きいので出力変動の対策も必要になる。それらの費用はここには含まれておらず、さらに追加でコストがかかる。
EU、次世代送電網などエネルギーインフラ整備に22兆円以上が必要

本当なら太陽光で儲けた投資家に、安定化費用を請求したいところだろうが、すでに固定買取が始まった後では今さらそうもいかない。最終的には電気代を払う消費者にツケておくしかない。

最近ではドイツでも、大型の発電所には出力制御する装置の設置を義務付けていて、発電量が増えすぎた場合などには強制的に出力を落としたり、発電を止められるようにしている。スペインなどでは既に風力発電の抑制が行われているが、この場合はもちろん買取費用を払わないですむ。

日本の再生可能エネルギー法でも、風力発電に出力制御を義務付けたり、系統制御に支障をきたす場合は買取を拒否できることになっている。

このように発電量が増えすぎた場合の対策は始まっている。しかしバックアップ発電の費用負担がどの程度必要か、誰がどう負担するかについては、いまだ明確でない。


太陽光発電のサブプライムローン

おひさまファンドの関連会社が展開している『おひさま0円システム』なる商品がある。0円といっても太陽電池をタダでくれるわけではなく、「頭金が0円」というだけ。要するに太陽電池のローン購入で、毎月2万円づつ払うという分割払いになる。

ソフトバンクエナジーの孫正義さんも「住宅の屋根を貸せ」と言い出していて、さらに投資先を拡大するビジネスモデルを考えているらしい。DMMソーラーなどもすでに同じようなシステムで販売している。初期費用は8万円と少ないが、売電収入の一部をDMMが持っていくことで元をとる。
屋根借りソーラー提言

ローンの金利負担も含まれるので最終的な負担は大きくなるが、これならお金がない人でもローンを組んで太陽電池を設置できる。一見お得なシステムに思える。

しかしよくよく考えてみると、太陽光発電で作った電気を高く買うための補助金は、すべて電気代に上乗せされる。国民全体に広く薄くかかるのでわかりにくいが、最終的な負担は自分自身にもかかってくる。

もし国民全員がソーラーパネルを設置した場合などを考えると、その負担の重さは想像できる。毎月のローン返済に加えて電気代も大きく上昇し、さらに負担が増える。最終的には自分で自分の首を絞めるだけだ。

金融危機の原因になったサブプライムローンも、本来家を買えないような低所得者に家を買うお金を貸してくれた。一見するといい事のようだが、結局は不動産バブルを誘発しただけだった。バブルがはじけたら家を追い出されて終わりだし、金融危機で全ての国民を巻き込んだ大混乱を引き起こした。
サブプライムローン - Wikipedia

規模はまったく違うしサブプライムローンほど複雑でもないが、太陽光バブルを誘発したフィードインタリフにもある種共通している。低所得者にまで資金を貸し付けて太陽電池パネルを設置させるのはいいことのように見える。しかし補助金で投資を集めるという制度の仕組み上、結局その負担を電気代として背負うのは、低所得者自身を含めた全ての国民になる。


補助金頼みのビジネスの限界

補助金を与えることで、自然エネルギーへの投資を誘導するシステムでは、投資が増えれば増えるほど補助金の負担も増えてしまう。理論どおりの効果を生むには、投資の規模とペースを適切に管理する必要があるが、経済をコントロールするのは難しい。

FIT補助金を引き下げたイギリス政府に対して訴訟をおこした会社ホームサンでも、Free Solarなるシステムを売りにしている。「補助金が削られるとフリーソーラーが出来なくなるよ」なんて主張していて、おひさま0円システムなどと同じく補助金による売電収入をあてにしたシステム。

孫正義さんや飯田哲也さんが、自然エネルギーを普及させるためのビジネスモデルを本気で考えてくれるなら良かった。しかし実際にやってることは、ただ補助金に頼るだけのシステムでしかない。

アメリカのオバマ大統領が提唱したグリーンニューディールもうまくいっていない。ソリンドラをはじめ、アメリカの環境関連産業も倒産続きの状態にある。現状では補助金なしで自然エネルギービジネスを軌道には乗せるのは難しい、ということの証明かもしれない。
なぜグリーンニューディールは必ず失敗するのか

少なくとも、ただ闇雲に補助金を配っているだけでは環境産業の育成にはつながらない、というのはアメリカやヨーロッパの例からも明らか。補助金で一時的なバブルを引き起こすことは出来ても、本質的な付加価値を生み出せなければ長続きはしない。


再生可能エネルギーに生じる不公平さと格差の問題 に続く
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タグ : 再生可能エネルギー 太陽光発電 風力発電 ドイツ イギリス 

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