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ドイツの風力発電や太陽光発電の不安定さに隣国チェコが迷惑してる



ドイツの風力・太陽光の電気が余ってお隣チェコの電力網に流れ込む

チェコの電力網を管理するCEPS(チェコエネルギー送電システム)が発表したところでは、昨年2011年にはドイツ-チェコ間で予定外の電力の流れが繰り返し、かつ頻繁におきていた、とのことです。
チェコのグリッドオペレーターがドイツからの電力オーバーフローを警告(google翻訳)

特に深刻だったのが、11月25日から12月16日の間で、平常時は1000メガワットのところ、3500メガワットの負荷があったようです。昨年年末のドイツは荒天で、冬場の風力発電の発電量が多くなっていたことが原因と見られています。

その他の時期の、オーバーフローの要因として挙げられているのは以下の4つ

  • 北部と南部ドイツの8つの原子力発電所の停止で輸出入量が増加したこと
  • ドイツの太陽光発電所の設備容量の増加(制度変更前の12月に駆け込み需要があった)
  • 電力市場でのスポット取引の集中
  • バルカン諸国が水不足だったために水力発電所が使えず、輸出入量が増加した

CEPSでは対策として、20億コルネ(9900万ドル=80億円)をかけてドイツ-チェコ間に変圧器を設置する追加投資が必要としています。すでにチェコでは、2012年だけで送電網整備に35億コルネ(1億7500万ドル=140億円)を投資することが計画されていました。

以前から指摘されていることですが、発電量が不安定な再生可能エネルギーの課題が、目に見える形で出てきました。これもまた、ドイツが脱太陽光(補助金カット)に舵を切った理由の一つです。
EU、次世代送電網などエネルギーインフラ整備に22兆円以上が必要


不安定電源の大量導入の問題

今回は停電などの重大事にはなっていませんが、ドイツの風力や太陽光などの不安定さが、お隣のチェコの電力網にも影響を与えてしまいました。

基本的に風力や太陽光は発電量が自然任せで、出力コントロールすることが出来ません。風が止まったり太陽が雲で覆われて、発電が止まることも問題ですが、逆に作りすぎてしまうこともあります。

こうした電気の流れが多すぎると、送電線などがショートして焼ききれたり、変電所などが故障してしまいます。基本的にはそうなる前に発電所などを切り離してしまう(ブレーカーを落とす)のですが、この場合にも最悪停電などになります。
計画停電とは 4 電気が不足したり過剰だったりするとどうなる

家庭で家電などを同時にたくさん使うと、大量の電気が流れるのを防ぐため、ブレーカーが落ちるのと似たようなものです。

ドイツの再生可能エネルギー政策は、発電量が落ちて電気が足りなくなれば売ってくれる。逆に発電量が増えすぎたときには、余ってあふれた分を引き受けてくれる隣国がいて、初めて成り立つものです。しかしそれにも限度があるので、これ以上の急速な増加は難しくなります。


ドイツの国内でも出力変動の問題が顕在化

風力や太陽光の発電量が落ちて電力が不足すれば、休止している発電所を立ち上げる必要があります。逆に発電量が増えすぎれば、稼動中の発電所の出力を落としたり、緊急停止する必要があります。
ドイツは自然エネルギー!・・・なの?(続)

こうした措置が行われる回数が、昨年2011年のドイツでは990回にもなり、2010年の3倍以上の回数に達していました。以前から発生回数の上昇は続いていますが、昨年はとくに急激に増えています。
■ドイツ:風力発電の増加に伴い電力系統の危機的な状況が増加傾向[PDF]
ドイツの電力網は国外の電力が必要(google翻訳)

最近急速に風力発電が増えている中国でも、不安定化により風力発電が一斉に停止する問題が起きています。

風力発電拡大に落とし穴、大規模な送電網脱落事故で―中国
 世界的に再生可能エネルギーの導入が進んでいるが、多くの再生可能エネルギーは通常の発電ユニットと異なり、電力系統で電圧低下が発生すると自らの保 護のために停止するといった欠点を持つ。このため、再生可能エネルギーが大量に導入されると電力システムの顕著な性能低下をもたらす。風力発電も例外では ない。


ドイツの電力輸入が大幅増加、電力輸出は減少

ドイツ-チェコ間の送電線が混雑したもうひとつの原因が、ドイツ脱原発による輸入量の増加でした。足りない電力をまかなうため、大量の電力が流れたことが送電網の負荷につながりました。
チェコはドイツに電力を売り、原子炉を増設する

昨年は国外からの輸入量が16%増で、大幅に増加していたことが伝えられています。逆に電力の輸出の方は9%低下。もともと電力に余裕のあったはずのドイツですが、ギリギリの状況まで落ちています。
【ドイツ】1~9月の輸入電力量、16%増

ドイツではいまだ9基の原子力発電所が動いていて、電力の6分の1は原子力です。さらに3月に停止する前までは、あと8基の原子力発電が動いていました。1-3月にはそれまでに原発で作った分の電力も含まれていてやっとこの数字。今後は、不足分をまかなうため火力発電所の増設が計画されています。

「ドイツは電力政策を転換してフランスへ電気を輸出できる国になった」の真実

... エネルギーシフトの成功を喜ぶのは少し早すぎます。まだドイツの電力のおよそ6分の1は原発によるものです。エネルギーシフトの本当の試練は、これらの原発を稼働停止しはじめてから始まるのです。われわれは、今後10年かけて大変な問題に取り組んでいかなくてはなりません。

...自然エネルギー施設の拡充方針に反対する人はいません。しかし問題は建設地の確保で、特に南ドイツでは不足しています。現在建設中の発電所では不十分なのです。すべての関係者には、この冬の経験を通じて新規建設の必要性を認識して欲しいと思います。

...今多くの人は、ドイツが数週間フランスに電力を輸出したと喜んでいます。しかし2011年全体でみれば、ドイツはフランスに対してかつての電力輸出国から輸入国へと転落しています。都合のいい数字ばかりではなく、事実を見つめるべきです。

...極度の寒波とガス輸送の停滞により、予想を超えた困難に直面しました。...非常に逼迫した状況で、数日間は予備電力に頼らねばなりませんでした。万が一の場合もう後がないわけで、極めて異例な措置でした。

独の太陽光発電装置業界、かつての輝き失う
 ドイツ政府は福島原子力発電所の事故を受けて、脱原発政策を決定したが同業界の活性化にはほとんど役立たなかった。脱原発に伴い不足する電力は、太陽光や風力よりも、石炭や天然ガスによる火力発電で埋め合わされる公算が大きいためだ。


ドイツ送電網整備は送電会社任せの上、反対運動などで進まず

ドイツでは発電、送電、小売部門が分割されていますが、送電網増強は十分に進んでいません。基本的に余分なコスト負担は避けようとする意識が働き、送電線増設への意欲(インセンティブ)が働かないため。

送電網の整備は用地の取得や、環境調査など手間と時間がかかるため一朝一夕には進みません。ソーラーパネルを置くだけの太陽光発電とのスピードの差です。

またドイツの北部と南部をつなぐ送電網が地元の反対運動などもあって、整備に手間取っているという事情があるようです。

電力自由化の成果と課題 ―欧米と日本の比較―

EU では、電力会社から分離された送電系統運用者が送電線の設備形成や保全を行う。送電系統運用者は、国内の送電容量の確保に加えて、EU 全域での電力取引のため、適切な国際連系線容量の確保に努める必要がある。しかし、送電系統運用者が国際連系線の新増設を行うインセンティブを欠いており、新増設が進んでいない。このため、欧州委員会は、新増設計画の承認手続きの簡素化や資金支援の改善等を提案している。

【国際】 脱原発のドイツ 電力不足でオーストリアからも電力支援を受ける

ドイツ政府は、電力不足の原因について、南部の原子力発電所1基が点検のために稼働していないうえ、北部の風力発電施設から南部への送電網建設が住民の反対運動で遅れているためとしている。


国内だけでなく、国外との送電線も必要ですが、この場合費用をどう分担して負担するか、などの調整も必要になります。今回のチェコの例ではどういう資金分担になるのかまでは出ていませんが、ドイツ側もある程度は負担するでしょう。

ドイツは再生可能エネルギーの全量買取だけが義務付けられて、発電設備だけは増えました。しかし、再生可能エネルギーの不安定さをカバーするために必要な電力網への投資が追いついていないようです。


電力網安定のために風力発電や太陽光発電を止める場合も

ドイツは自然エネルギーを優先するあまり、風力や太陽光など再生可能エネルギーはどんな時でも全て買い取ることが義務付けられていました。

その変動対策として、他の火力発電所で出力を調整したり、国外の送電網に流したりすることで安定化させていました。しかし今回のチェコの例、そしてドイツ国内で電圧変動や瞬間停電の発生回数が増加していることからもわかるように、既に限界にきていました。

そのため、現在はドイツでも100キロワットを越える中型以上の風力・太陽光発電所には、出力を調整する装置を義務付けて、非常時には送電網から切り離すことにしているようです。
海外の再生可能エネルギー電源に係る 優先規定の検討状況について[PDF]

この場合は買取の義務が免除されるので費用はかからず、送電網の安定も確保できることになります。すでにスペインなどでも、電気が余るときには風力発電を止めるなどして対応しています。

昨年成立した日本の再生エネルギー法でもこれに習って、「電力の安定供給に支障をきたす場合は、買取を拒否できる」という条件がついていました。

太陽光発電の安定化対策コストの試算からも、同じようなことが見て取れます。一番上の行のように、全部を買い取って送電網に乗せようと思うと、コストがあまりに莫大になってしまいます。

太陽光発電大量導入に伴う投資額

しかし下の行のように、電気が余っている時は太陽光発電所の方で出力を落としてもらう(送電網に流さない)方法なら、はるかに安くすみます。


ドイツの補助金カットは電力網の安定のため

ドイツが補助金のカットを急ぎ、全量買取を終了させるのもこうした事情が関係しているようです。ドイツの環境大臣も、太陽光発電の導入量を減らす目的について、「コストの増加を抑えることと、電力網の安定性を守るため」と発言しています。
ドイツは、議会の決定なしに補助金をカットする権限を、メルケル首相に与える(google翻訳)

太陽光を急激に増やし過ぎても、電気を余らせてしまう場合が増えてムダが多くなり、また電力網への悪影響も大きくなります。再生可能エネルギーを急激に普及させると、かえって弊害の方が大きくなる、という例です。

蓄電技術があればいいのですが、現状では高コストで現実的には不可能。送電網の整備も追いついていない。出力変動の対策が十分に取られない場合、風力や太陽光など変動の大きい電源は増やせなくなります。



【ドイツ】1~9月の輸入電力量、16%増

ドイツエネルギー・水道事業連合会(BDEW)によると、1~9月の電力輸入量は378億キロワット時となり、前年同期比16.1%増加した。輸出は9%減少。収支は出超を維持しているものの、原子力発電所の稼動停止などで黒字幅は大幅に縮小している。ロイター通信が22日報じた。

国別では、フランスとデンマークからの輸入がそれぞれ28%、55%増えたほか、ポーランドからの輸入は2倍以上に拡大した。フランスは原発58基を保有し電力消費の約80%を原子力エネルギーで賄っている。またポーランドは発電量の90%を石炭発電により調達しており、デンマーク国営の石油・ガス会社DONGエナジーも石炭発電が主力となっている。

原発廃止やグリーンエネルギーの推進を目指すドイツだが、今回の調査結果を受け、これら諸外国への電力依存に対する批判が高まることが予想される。

BDEWはまた、ドイツが脱原発にかじを切った後も電力消費量は安定していると指摘した。


■ドイツ:風力発電の増加に伴い電力系統の危機的な状況が増加傾向

2010 年1 月8 日付地元紙は、風力発電の増加に伴って電力系統が危機的な状況に陥る日数が増加しつつあると報じている。同紙によれば、バッテンファル・ヨーロッパ社の送電系統運用会社が危機的な状況(Critical Network Situations)と判断した日数は、2006 年には80 日だったものが、2007 年には155 日、2008 年には175 日、そして2009 年には197日と増加の一途をたどっている。同紙は、その理由として、ドイツ北東部の風力発電導入量の増加、風力発電の出力予測の難しさなどをあげている。


付録 訪問議事録 Vattenfall Europe Transmission 社(VE-T,ドイツ)[PDF]

電気事業法第13 条第1 項に規定された措置の発動回数は年々増加。2006 年は80 日、2007 年は155 日、2008 年は175 日。昨年は2回を除き第1項の範囲で対処。なお、VE-T の送電系統に連系される風力は10%程度であり、残りの90%がDSO の配電系統に連系されており、ほとんどの場合、③のケースはDSO を通じて実施することが必要。

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タグ : 再生可能エネルギー 太陽光発電 風力発電 ドイツ 

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