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ドイツのソーラーパネル業界は壊滅寸前、エネルギー政策の幻想と現実



経営危機が続くドイツ太陽光パネル業界は風前の灯

すでに昨年12月の段階で、ドイツの中堅ソーラーパネルメーカーソロン(ゾロン)や、発電事業を手がけるソーラーミレニアムが相次いで倒産したことが伝えられていました。
ドイツ、太陽光発電関連企業2社、相次ぎ倒産

ドイツ大手のQセルズも経営状態は相当に厳しく、昨年は想定以上の赤字を計上しCFOが辞任。またCEOが「2012年2月末の債務返済が出来ない」可能性(破綻)にも言及していました。
独Qセルズ:7-9月赤字、予想以上に悪化-ヘルムズCFOが辞任

太陽光バブルの全盛期には100ユーロ近くだったQセルズ社の株価が、今ではわずか0.35ユーロと300分の1の価値しかない。すでに倒産の秒読み段階に入っている感がありますが、今回のドイツ太陽光発電の固定買取価格のさらなる引き下げがトドメになるかもしれません。
太陽光はドイツの環境政策の歴史で最も高価な誤り?

オバマ大統領肝いりのソーラーパネルメーカー、ソリンドラを始め、アメリカなどでも続々と太陽光関連の会社が破綻しています。原因は、ソーラーパネル最大の導入国だったドイツをはじめとする欧州で、太陽光発電の固定買取価格が続々と引き下げられていったことです。

その結果、太陽光発電パネルの需要が大きく減ったため、2011年だけでパネルの価格が46%下落という大暴落を引き起こしました。中国をはじめとする新興国メーカーが安い人件費を武器に参入して、競争が激化していることも一因です。
太陽光バブル崩壊の波に飲まれる欧米の太陽光産業

1年でソーラーパネルの価格がほぼ半額になっては、パネルメーカーはどうやっても商売が立ち行かなくなり、バタバタと潰れてしまいました。ドイツの太陽光関連の業界でもリストラが進み、すでに多くの失業が出ているようです。
ドイツのソーラー発電業界に太陽はまだ輝くのだろうか?(google翻訳)


さらにドイツが太陽光発電の固定買取価格を最大30%引き下げる

ドイツの再生可能エネルギーの全量買取制度(フィードインタリフ、以下FIT)の価格がさらに引き下げれることが決定したそうです。すでに過去2年で太陽光発電の買取価格は40%引き下げられていて、今年はさらに7月に15%引き下げられる予定でした。

が、引き下げの時期は4月に前倒しとなった上に、価格の引き下げ幅も家庭用太陽光が20%、事業用太陽光では30%と倍の引き下げ幅に変更されています。
独政府、太陽光発電の固定買い取り支援をさらに削減

さらに2013年1月からは太陽光発電の買取量そのものが一部カットされ、全量買取ではなくなります。

この結果、2012年ドイツの導入量目標値は2.5ギガワット~3.5ギガワット程度となり、2011年の実績7.5ギガワットから半分以下の規模に縮小。2011年の世界の導入量が28ギガワットですから、ドイツの削減分だけで世界のパネル需要の1割強~2割弱が消えることになります。
太陽光補助金カットを早めるというドイツの宣言を受け、太陽光関連株は急落(英文)

こうした買取価格の引き下げ等で、さらなる失業者が出るのは避けられないとして、太陽電池業界やロビー団体などは今回のドイツ政府の決定に反発しています。とはいえ、ドイツ国民の電気代負担も限界にきています。

ソーラーパネルメーカーにとっては、従業員の解雇、人件費の安い国への工場移転など、リストラでコストカットするしか生き残る道はありません。すでにQセルズもマレーシアなどに工場を移転しています。

太陽光発電はエコで環境に優しく、再生可能エネルギーでエネルギー自給率も向上する。おまけに環境関連の雇用も生まれて経済もうるおう。

まるで夢のような話でしたが、現実はそこまで甘くはありません。かつては経済統合のお手本と見られていたEUが、今ではユーロ加盟国の債務問題ばかりが取りざたされていることと、同じような構図です。
【地球漫録】太陽光発電の“盲点”…コスト高に悲鳴


ドイツの環境・エネルギー政策の実体

メディア等では「ドイツは再生可能エネルギーで脱原発をめざしている」と言われることが多い。ドイツの太陽光関連企業なども、脱原発ムードを利用した生き残り策に必死だったようですが、あまり効果はありませんでした。
【ドイツ】ソーラーワールド、反原発キャンペーン展開
→→【ドイツ】ソーラーワールド、昨年通期は赤字転落[製造]

ドイツ太陽光発電の固定買取価格の引き下げ、全量買取の廃止などからもわかるように、実際のドイツのエネルギー事情はそう単純ではありません。原子力発電の代替になったのは石炭や石油、天然ガスなどを使った火力発電でした。太陽光発電や風力発電では発電量が不安定なためです。

独の太陽光発電装置業界、かつての輝き失う
 ドイツ政府は福島原子力発電所の事故を受けて、脱原発政策を決定したが同業界の活性化にはほとんど役立たなかった。脱原発に伴い不足する電力は、太陽光や風力よりも、石炭や天然ガスによる火力発電で埋め合わされる公算が大きいためだ。

ドイツの発電用エネルギーの主力は石炭で、発電量のおよそ半分を占めています。ドイツでは石炭が豊富に取れるためです。石炭火力発電は天然ガスなどに比べるとCO2の排出量が多いのですが、ドイツ国内で自給できるエネルギー源として、石炭は手放せない存在です。

各国の電源構成比
[PDF]エネルギー白書2010 - 第2部 第1章 第3節 二次エネルギーの動向


ロシアの天然ガスに依存するリスクに悩まされるドイツ

ドイツは北海道と同じくらいの緯度にあり、寒い国ですのでエネルギー消費のピークは冬場の暖房になります。しかし冬場には日照量が減るので、太陽光発電の発電量は落ちてしまいます。

ドイツでの冬の暖房は電気ではなくガス暖房などを主力としています。燃料はそのまま燃やすことでも暖をとれますし、むしろその方が効率がいい。これが夏場の冷房であればそうもいかず、ほぼ電気に頼ることになりますが。

ドイツではロシアからパイプラインを通して天然ガスを輸入してます。ウクライナとロシアの揉め事に巻き込まれ、真冬にロシアからの天然ガス輸入が止められて、パニックに陥ったことがありました。
ロシア産天然ガスの供給問題

ドイツでは2010年に一度脱原発の方針を転換し、原子力発電所の稼動延長を決めていました。その背景にあったのが、この天然ガスの輸入がストップした問題でした。日本でもオイルショック後に原子力発電が推進されていきましたが、どこの国でも資源確保には苦労と苦悩があります。

電気以外のエネルギーも含めた、1次エネルギーの化石燃料への依存度を見てみると、日本が81%、ドイツが79%とほとんど差がなくなってしまいます。どこの国も化石燃料に依存していて、化石燃料への依存を減らすために活用しようとしているのが自然エネルギーであり原子力です。

主要国のIEA ベースの化石エネルギー依存度(2009 年)
[PDF]エネルギー白書 第2部 エネルギー動向


国民1人あたりのCO2排出量を見ても、ドイツは日本より多くなっています。ドイツは世間で言われているほど、飛びぬけた環境先進国というわけではありません。もちろんCO2排出量だけで全てを決められるわけではありませんので、ひとつの目安ではありますが。
人口1人当たりCO2排出量
人口1人当たりCO2排出量と発電量1kWh当たりCO2排出量(2009年)


国全体のCO2排出量をみると、ドイツの方が排出量が少なくなっています。しかしドイツの人口は8000万人、日本の人口は1億2000万人以上ですので、日本人一人当たりの排出量で見るとドイツ人よりも少なくなります。日本の方が効率よくエネルギーを使っているという見方もできます。


二酸化炭素(CO2)排出量の多い国 (単位:百万トン)
順位 国名 排出量
1 中華人民共和国(中国) 6,508.2
2 アメリカ合衆国(米国) 5,595.9
3 ロシア 1,593.8
4 インド 1,427.6
5 日本 1,151.1
6 ドイツ 803.9
7 カナダ 550.9
8 英国 510.6

エネルギー起源CO2(各種エネルギーの利用時に発生したCO2)の排出量
外務省: 二酸化炭素(CO2)排出量の多い国


反面教師としてのドイツの太陽光発電政策

ドイツの再生可能エネルギーの全量買取制度は、普及させることを急ぎすぎたために、あとになって太陽光発電の買取に関して大きな修正をすることになってしまいした。

電気系統の整備等に新たなコストが必要になり、電気代も上昇してしまうなど、太陽光発電の弊害も出ています。その割に化石燃料への依存度は大きく変わらず、コストの割に効果が少ない。ドイツ当局でもそうした判断が働いてるために、急激に買取価格を引き下げて、太陽光発電の導入量を減らそうとしているのでしょう。

そうした補助金制度の急拡大と、その後の急激な縮小という迷走が招いたひずみが、ドイツの太陽光発電業界の惨状です。作っただけ売れるから、と安心してしまい過剰投資をしていたソーラーパネルメーカーが破綻してしまうのは、自業自得とも言えますが。

日本でも風力や太陽光など再生可能エネルギーについて、固定価格の全量買取になることが決まっています。(ただし事業用のみ。家庭用の太陽光発電は固定価格の余剰買取のまま)。買い取り価格などの細かい条件の決定はまだですが、あわてて太陽光の全量買取を廃止したドイツと同じ轍は踏まないようにしたいものです。

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タグ : 再生可能エネルギー 太陽光発電 ドイツ ロシア 

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