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掛け捨て方式の年金制度は、高齢者限定の生活保護制度と同じ



公的年金を掛け捨て方式にする、という話が一時期盛り上がったこともありましたが、最近はめっきり聞かなくなりました。今では言いだした本人の口からも聞こえてきませんし。

民主党の最低保障年金と同じようなものかもしれませんが、具体的な制度設計などは出ずじまいなので謎のまま。言葉どおりの掛け捨てだったとして、一体どんな制度になっていたかを想像で書いてみます。


掛け捨て方式とは、年金を廃止して老後を生活保護で暮らすのと同じ

公的年金の掛け捨て化とは、老後でも一定の収入や蓄えのある人には年金を減らしたり、支給しないようにする事。必要な人にだけ年金を払えばいいので、一見すると良い制度のようにも思えます。

しかしよく考えてみれば、今の生活保護制度とほとんど同じ仕組みである事がわかります。

生活保護の財源は税金なので誰もが払っていますが、受け取れるのは自力で生活できなくなった者だけ。病気や貧困にそなえて税金という保険料を払い、掛け捨ての保険に加入しているのと同じことです。

掛け捨ての年金というのも、保険料(もしくは税金)を財源として、収入や貯蓄のない高齢者に年金を支払うことになります。みんなが保険料を支払うが、受け取れるのは生活に困っている者だけ。老後限定という点だけは違いますが、生活保護とほぼ同じです。

掛け捨て年金というのは、わざわざ高齢者限定の生活保護制度をつくるようなものなのです。同じ仕組みのセーフティネットを二重に張っておく意味は無いので、年金制度は廃止して老後は生活保護一本で行きましょう、と言った方がわかりやすい。


まじめに老後に備えていると損をする

本来の公的年金制度は、現役時代の稼ぎの一部を徴収して、強制的に貯蓄させておくようなものです。

現役時代に十分な収入のあった者は、年金の受給権(強制貯蓄)を持っているので、将来の生活保護受給者になることはできません。年金があるおかげで、キリギリスになりたくてもなれないようになっている。

しかし、掛け捨て年金(生活保護)には強制的に貯蓄させる機能がない。まじめに働いて貯金しなくても年金が受け取れるとなれば、収入があっても蓄えを持たないキリギリスを生み出す可能性が出てきます。

掛け捨て年金を受け取れる条件は、高齢になったときに収入や貯金がないこと。つまりわざと浪費して、老後に貯蓄も収入も無い状態にしておけば、遠慮なく掛け捨て年金(≒生活保護)のお世話になることができます。

もし自主的な貯蓄だけに任せておくと、老後に備えてまじめに貯蓄していたアリは掛け捨て年金を受け取れません。その一方で、貯蓄せずに浪費していたキリギリスは、掛け捨て年金を受け取ることができる。公平性という点で問題が出てきます。

若い時に苦労したので年金保険料を払えなかった(貯金できなかった)人が、掛け捨て年金や生活保護のお世話になるのは仕方のないことでしょう。

しかし、それなりの収入があったのに貯金をしなかったキリギリスまでが受け取るようになれば、不公平感が大きくなりますし、モラルハザードで掛け捨て年金(生活保護)の給付額もどんどん膨らんでしまいます。

The Ant and the Grasshopper - Project Gutenberg etext 19994


まあ、今でも国民年金の保険料を払えない人・払わない人はいるので、無年金者を減らすことは必要です。

国民年金の1号被保険者(学生やアルバイトや自営業者や失業者)の最終納付率は65%ほど。ただし1~3号全体をあわせると、加入者の95%は年金保険料を納付しています。全体の5%くらいは未納ということになります。

学生や失業中の人など、収入が無くて保険料が払えない人については、仕方がないでしょう。せめて年金保険料の免除申請くらいはしておいた方が何かと得だとは思いますが。国民年金は半分税方式なので、免除申請をすれば保険料を払わなくても、半額ですが年金給付が将来受け取れますし。

問題はそれなりの収入があるのに払っていない人です。ただ払い忘れた人から、年金はアテにできないから生活保護をアテにする、という不届き者までいるでしょう。自分で貯蓄はしているかもしれませんが、何かのきっかけで生活保護受給者になる可能性はあります。

生活保護も不人気な制度ですから、いつ廃止になるかわからないという点でアテにならなさでは年金以上です。仮に続いていたとしても、生活保護の需給には厳しい条件があります。某お笑い芸人の例のように、扶養義務もあるので生活保護を受けられず、息子や娘など親族のお世話になってしまう可能性もあります。

収入がある未納者はいずれ強制徴収ということになっているので、問題無いとは思いますが。払えるのであれば払っておくほうがいいと思いますし、保険料を払い忘れても任意加入で後から払うこともできます。


平成 23 年度の国民年金の加入・保険料納付状況 - 厚生労働省 [PDF]
1号被保険者納付率 初年度 1年遅れ 2年遅れ
平成19年度分保険料 63.95 66.73
(+2.79)
68.61
(+1.87)
平成20年度分保険料 62.05 64.98
(+2.93)
66.83
(+1.85)
平成21年度分保険料 59.98 63.24
(+3.25)
65.26
(+2.02)
平成22年度分保険料 59.31 62.20
(+2.89)
 
平成23年度分保険料 58.64    

1 平成22年度の納付状況等について [PDF]
(1)公的年金制度全体の状況

○ 公的年金加入対象者全体でみると、約95%の者が保険料を納付(免除及び納付猶予を含む。)。
未納者は約321万人、未加入者(注2)は約9万人。(公的年金加入対象者の約5%






 
 9

公的年金加入者
6,827万人
第1号被保険者
1938万人
第2号被保険者              
3884万人
第3号被保険者
1005万人
未納者
321万人
免除者
348万人
学特・猶予者
204万人
保険料納付者厚生年金
3441万人
共済年金
443万人


政策論なのか選挙戦略なのか

年金は金持ちも貧乏人も区別無く支払われるからダメで、生活保護みたいに必要な人に多く配るようにした方がムダがない、と考えたのでしょう。覚えたての"負の所得税的な"考え方というやつで。

民主党の主張していた最低保障年金も負の所得税”的”ですが、こっちはこっちで「支給対象によって2075年度に58.7兆〜43.5兆円が必要で、消費税率を10%に引き上げた後、さらに6.2〜3.5%の増税が必要になるとしている」のだそうな。今さらですけどね。
新年金制度案:民主、財源試算を公表

もし最低保障年金があれば、高齢者向けの生活保護費の一部を減らす効果はあります。しかし月額7万円だけでは暮らせないので生活保護は0にはならず、多くても1兆円とかその程度の話。おまけに実現するのは何十年も先。

民主党も具体的な制度設計を出せばボロが出るのはわかっていたので、野党時代もマニフェストには具体的なことは書かなかった。選挙戦略的にはそれで成功してしまったようです。

選挙の時だけ抜本改革とかグレートリセットとか、抽象的な改革論を唱えるのもいいですが、目先必要なのは地道な微調整のほうです。最低保障年金とか積立方式とか掛け捨て方式と言ってみても、負担を増やすとか給付を減らすという話抜きでは何の解決にもなりませんから。

最低保障年金とか掛け捨て年金みたいなハデだけど面倒な事をしないで、国民年金の納付率を上げて無年金者を出さないようにする。あるいは年金控除を廃止するなど、地味に負担増を訴える方が早道です。

年金控除を廃止するか減らせば、高所得者ほど多く負担することになります。これは普通の所得税の範囲ですが、年金を給付する際に税金として天引きしておけば、高所得者向けの給付を減らすのと同じです。さすがに資産の把握まではすぐにはできませんが。

まぁ、真面目に負担増を訴えると選挙には勝てないので、何となく目新しそうな事を言っておいた方が選挙戦略上は有利なのでしょう。

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タグ : 社会保障 年金 

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